第12話ゆったりとした彼女との休日

休日である土曜日、9時頃に心咲頼家を訪れた俺を迎えたのは弟だった。

「......」

「おはよう......お姉ちゃんと約束してて──」

玄関扉を開けて、俺を無言で見上げる彼女の弟。彼に挨拶をして、用件を告げようとしたが無視して、階段を駆け上がって行かれた。


間もなくして心咲頼が駆けおりて呼吸を乱しながら、自宅に上がるように促す。


「おはようございまぁ~すぅ~お邪魔しまぁすっ」


彼女の後ろをついていき、彼女の部屋に招かれて、アニメ観賞会やゲームをしながら放課後とあまり変わらない時間を過ごした。


「屋那瀬くん、夏休みはお出掛けとかする予定はあったりする?」

「ええっと、特にこれといったことはないかな」

「そうなんだ。プールだったり海だったりって興味ない方?屋那瀬くんは」

「日焼けのひりひりが苦手で、そういったのは......」

「いっ、一緒、に行きたい......って言ったら、私のお願いを屋那瀬くんは断る?」

俯いたまま照れたように詰まらせながら、ちらちらと視線を彷徨わせながら訊ねてきた彼女。

「へっ?ふ、ぇ......?あっとぉー......こっ、断ら、ないぃ、よぅぅっ」

「嬉しいっっ!」

締まりのない笑顔でそう返してくれた彼女だった。


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