第10話まるで惚気夫婦の会話

翌日。

6時過ぎに枕もとに置かれたスマホから着信が鳴り出し、2コールで出ると心咲頼の甘くて蕩けそうな囁き声が聞こえ、間抜けな声をあげながら飛び起きた。

『ふりょーくぅん、朝ですよぅー。起きてねぇー、旦那さん』

「ふぇっ?あぁっと、起きました......って、何で惚気た夫婦みたいな起こし方なのっ?」

『影響されてやってみたくなっちゃって。えへへ、屋那瀬くんっ、屋那瀬くぅ~んも付き合ってよ!』

心咲頼は昨日、二人で観ていたアニメに影響されたそうだ。

「恥ずかしいって、さすがにそういったプレイは......付き合ってもないし」

渋る俺に彼女は不満そうな声をあげた。

『んもうぅーっ!恥ずかしいって......部屋にあがってるくせして』

「それはそうだけど......」

スマホの向こうからため息が漏れ聞こえた。

『今日、バイトで放課後は忙しいから。迎えに来てくれる?』

「あぁ、そうだね。そうするよ」

通話が切れ、自室を出てリビングに向かった。

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