第9話アニメ観賞会

河田から逃げ切り、校舎を抜けて校門付近で待っていた心咲頼に駆け寄ると彼女の手を握り走り出す。

「どうしたのっ?」

「後で説明するからある程度の距離を離れたら手を離すから」

「うっ、うんっ!」

校舎からある程度の距離まで離れ、彼女の手を離した。

はぁはぁ......と息を切らしながら、どうしたの?と問い掛けてきた。

「朝に話した人から逃げてたんだ。はぁはぁ、ふぅーっ、あまりにもしつこくて......待たせて、ごめんね」

「ううん、気にしないで。寄らない?」

「そうしようか。何を借りるか決めてるの?」

「まだだよ。屋那瀬くんの意見も聞いてからって思ったの」

レンタルビデオ店に入店し、観たいドラマやアニメを選びながら、CDもいくつか借りることにした。


心咲頼家にお邪魔して、彼女の部屋でアニメの観賞会をすることになる。

恋愛を主軸とした学園ものを中心に観ることに決まり、コンビニで購入した軽く摘まめるお菓子とコンビニスイーツを口にしながら、ゆったりとした空間でアニメを観ていた。

「そう言えばさ、後輩から不良の男子を怒らしたとかで泣き付かれたんだよね」

「ああ......彼女か。そもそも不良じゃないけどなぁ、そんな風なの?」

「えぇっと、そんなことは......ないよ」

困惑の色を浮かべた彼女に、ぽつりと、ごめん、と謝る俺。


その後も、アニメを観ながら駄弁っていた。

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