第8話放課後の体育館
放課後、体育館の隅でバスケの練習を眺めていた。
コートを駆け回る河田は、いつもの間抜けな表情とは掛け離れていた熱心な表情を見せている。
河田に連行される前に教室を出たところで、運悪く彼に出くわし、抵抗もむなしく体育館に連行された。
相手チームのブロックを軽やかなフットワークでくぐり抜け、ゴールヘと一直線に駆けていき、華麗なシュートを決める彼。
ふぅー、ほんとに楽しそうにプレーをしている。
彼のようにキラキラと輝けたら、嫉妬という醜い感情なんて湧かないだろうに......
ホイッスルの高く短い音が体育館に鳴り響き、休憩に入る彼ら。
河田が駆け寄って、感想を訊ねてきた。
「どうよ、シュートかっこよかっただろ?結翔ぉ~どうだった」
「まぁ......な。もういいか?帰っても。観たいアニメが──」
視線を逸らし、短く返事をして、扉に向けて歩きだそうとしたら、肩に手を置かれ引きとめられた。
「いいやっ!まだ観てけよ、結翔。そのために引きずってきたんだから!」
「用事があるっつってんだよ。女バスの彼女が河田君ばっかり見てたぞ」
ミディアムの茶髪で毛先を弄りながら壁にもたれかかる女子を指差し、話題を逸らした。
彼が振り向いた隙にそそくさと体育館を後にした。
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