第7話誘う友達

昼休み。

教室を出る前に心咲頼にメールを送る。

椅子から立ち上がり、教室を出ていく。

廊下に出ると、走ってきた女子がぶつかってきた。

ひぃっ、と小さく悲鳴をあげて、カツアゲされたような尋常ではない怯えで謝ってきた。

「ごっごご、ごめんなさいっ、以後気を付けますのでっ。どっどうかっ命だけはっ!」

「何も、そこまで。怒ってないからいいよ」

周りが、かわいそうだよね、あの娘などと言い出した。

俺が悪いの?おかしくない?

「ほんとっすみません。失礼しますっ」

小走りで、去っていく小柄な女子。

俺は、歩きだし中庭を目指す。

職員室が近付いてきて、後ろから呼び止められる。

「いたいたぁ。めっちゃ探して、疲れたぁ。喉乾いたんだけどぉ。何で教室で待ってくんないの、結翔?」

騒がしい、自称親友がきた。

「気分じゃなかったんだよ、河田くんの」

「ひでぇ、結翔。放課後、応援しに来てくんない?」

並んで歩きだす。

「用事がある」

「何だよ、用事って。俺より大事なのか、それ」

「そうだけど。興味ないし、体育館暑いし」

「親友のかっこいいプレーをみないっておかしくないっ?バスケのアニメ観てるって言ってたじゃん」

「おかしくないし、アニメ観てるからって理由は違う」

「おかしいってぇの。来いよ、絶対」

「行けないって。理解できないの、河田くん?」

「理解してるよ、けど理解したくないっ。引きずっていくからな、結翔を」

「何だよ、それ。目立ちたくないし、捕まらないように帰るから」

「何がなんでも連れていくからな」

宣言されても、連行されたくないことにかわりない。

「逃げきるから、俺は」

「なっんだよ、つれねぇな。そういえば、ヤンキーがヤンキーがって話題があったんだけど。知らない?」

ヤンキー。

心当たりが......な、い。

「しっ、知らないけど。捕まらないようにようじ──」

「てか、結翔じゃないの?話題のヤンキーって」

「は、はぁ。ちげぇよ、どこをどう見て俺にいきつくんだよ」

「結翔以外がヤンキーに間違われるなんてねぇし。どこ行くの、外じゃん」

「河田くんに関係ないから。一人になりたいから、戻って」

踵を返す、彼。

「ちぇっ、放課後にまたぁ」



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