第3話彼女の部屋でゲーム、そして──

放課後、心咲頼の部屋にて。

俺一人、胡座をかいている。

心咲頼は、飲み物を用意しているためいない。

有名な少年漫画が少女漫画より本棚に並べられている。小説も少ないながらも収納されている。最近発売された文庫化されていない単行本が10冊ほど。文庫本は20冊以上に及んでいる。数は少ないがラノベも何作品か本棚に並んでおり、ほとんど知っている作品ばかりだ。

出版社と作者の50音順に並んでいる。

勉強机や床に収納しきれないでいる漫画や文庫本が積まれている。

本棚の隣の棚には、シングルとアルバムが並んでおり、漫画のDVD付き特装版とアニメのOVAのDVD、アニメ映画のDVDが並んでいる。

10分経過し、彼女がトレーを持って戻ってきた。

「お待たせ。屋那瀬くん、今日はアールグレイにしたよ」

「いつものでいいのに。ありがとう。また、漫画増えてない心咲頼さん?」

「うん。それより、早くゲームしよ。屋那瀬くん」

「そうだね、やろうか」

ティーカップに口をつけ、アールグレイを喉に流し込む。

テレビの電源をいれ、ゲーム機を起動させる彼女。

コントローラーを渡し、ゲームのタイトルロゴが出て、音楽が流れ始める。

冒険ファンタジーで、協力プレーでプレイしている。

弱いモンスターを切りつけていく、短い金髪で武器の大剣の少年を操作する俺。

援護しながら、狩りそこねたモンスターを倒していく少女を操作する彼女。

扉が開いて、身長の低い男子が、

「ただいま~、僕もゲームしたいよぅ」

と言って、彼女の身体を揺する。

「今は無理だよ、夕飯食べてからね。操作が狂うから、お菓子でも食べてきなよ。おりゃあっ」

彼は、部屋を出ていった。

「弟なんだ。小学生の」

「へぇ、弟いたんだ。心咲頼さんにぃそこに叩き込んでぇ」

「わかったぁぁっ!ふぅー、ギリギリだったね」

「そうだね。前から思ってたけど、肌に潤いっていうのか、ぷるんとしているよね。心咲頼さんの肌って」

「えっ、そうかな?触る、屋那瀬くん?」

彼女は、肌に触れ確認して、聞いてきた。

「男子に触られたくないでしょ。嫌われたくないから触らないよ」

「屋那瀬くんならいいよ。むしろ触ってほしい」

彼女は、顔を近付ける。

「本当にいいの、嫌いにならない?」

「ならないよ、屋那瀬くん」

「じゃあ......お言葉に甘え、て」

彼女の頬に触れる直前に弟が扉を開け、

「もうなくなっ──」

と、足を踏み入れ、固まる。

「いやっちが、ただ──」

「お兄ちゃんにお姉ちゃんが男の人としてたって言わないとっ」

弟が誤解を招く言い方をして、部屋を飛び出していった。

「いや、ほんとっ、て心咲頼さん止めにいかないと」

彼女は、ぷすぅと頬を膨らましていた。

「......せくん。触ってくれないの?」

それどころではないけれど、分かっていらっしゃるのか、心咲頼さんは。

「触ったら、機嫌を直してくれるの?」

「......う、ん」

仕方なく、彼女の頬に触れる。

「ありがとう。幸せっ屋那瀬くん」

背中に腕を回し、抱きついて胸に顔を埋める彼女。

「えっ。はっはいぃ、なにしてんの?」

頭の中が真っ白になる。

「屋那瀬くんを感じてるの。離れたくないよ、屋那瀬くん」

抱きついたまま、甘い声で、言う。

今までこんなことされないでいたから、免疫がなく、身体が火照るのを感じて倒れそうだ。


あついあついあついあついあついあつい、もうっむぅりぃっだぁ。


俺は、後ろに倒れ、意識を失う。

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