第34話 オッドテクノロジー社

<オッドテクノロジー社>


キースはポケットからカプセルを出し飛行船を起動。

意識転送をして飛び立った。

飛行してから一時間程度が経過し目の前にオッドテクノロジー社が見えて来た。


「久しぶりだな、ここに戻るのも」


飛行船のスピーカーからキースの声が聞こえた。


運転席ではキースはどう見ても寝ているように見える。

サラもライもとても不思議そうだ。


「いよいよね」

サラがそう飛行船に話しかけると


「そうだね、そろそろ着陸するから二人ともしっかり捕まっていてね」

そういうとキースはオッドテクノロジー社付近に着陸した。


金の塔でシステムをダウンさせている為、

本来、会社全体をを包み込んでいるバリアは全て解除されており

スムーズに付近に着陸が出来た。


意識転送を解除し肉体に戻ったキースは飛行船から降りると

よく使用していた秘密の地下道へ二人を案内した。


「ここからいけるのか?」

ライが不思議そうにキースに問いかける。


「大丈夫、ここの道は僕が内密に開発したワープゾーンなんだ。

この先にオッドテクノロジー社の中枢であるコントロール室がある。

そこで意識を肉体に戻すことが出来る」


真っ暗な道をひたすら歩き続けたその時、後方から声が聞こえてきた。


「キース様、お久しぶりです。こんな所で何をされているんです?」

振り返るとそこにはベインがいた。


「ベイン……何故この場所を知っている?」


キースは自分以外にこの場所を知っている者はいないと想定していた。

何よりこの空間を作ったのは自分であり、

その空間に入ることが出来るのは自分が設定した人間のみ。

つまり、キース、サラ、ライだけだ。


「キース様、私はあなたが何らかの仕掛けを社内にしていると推測し、

あらゆる場所の捜査をしていました。

そう、オッド様の命令で。

その中でついにこの場所を発見し

あなたが社に来る時には間違いなくここから侵入してくると読んでいました。


特殊なシステムですね。

色々試しましたが私以外の幹部は入る途中で圧縮され死んでしまいました。

残念、残念」


「そうかい。ベイン、死を覚悟してまでここに入るとは。

さすが兄さんが認めただけある。

しかし、僕の邪魔はするな。

僕が言えることはそれだけだ」


キースはそう答えるとベインは顔の表情を変えずにこう伝えた。


「もし、邪魔をすると言ったら?」


「その時は力ずくでこの先に進む!」

キースはそう言うと持っていた剣でベインに切りかかった。

しかし、ベインは余裕の表情でキースの攻撃を躱した。


「キース様、光の粒一つひとつを細かな小さな刃に変えて集合させ、

一本の剣を作り出すとはさすがですね。

逃げ回った場所には大した素材も無かっただろうに。

ここまで出来るとは。

もし当たっていたら、その何億という細かな光の刃が私の身体を切り刻み

今頃私は致命的な傷を抱えていたでしょう。


でも、頭脳で私に勝つことが出来ても

実戦の武術で私に勝つことは出来ない。

そして、こうしている間にも

君が恐れている最後のスクリーニングは終わりに向かっているのです。

君にモタモタしている時間は残されていない。

さぁ、どうする? キース」


キースはもう一度、ベインに切りかかろうとするが

ライがそれを阻止してキースに言った。


「ここは任せろ。この動きからしてこいつは間違いなく手強い。

私に任せろ! お前は姫をつれて先を急げ!」


「ライ! それは出来ないよ!」


「いいからいけ! 最後のスクリーニングが終わってしまっては全て台無しだ!」

ライはそういうとキースの背中を押した。


「ライ、すまない! 必ず、必ず兄を阻止してみせる!」

キースがそう言うと、サラもライの方を見てエールを送った。


「ライ、アナタなら必ず勝てる、親衛隊の名にかけて」


「姫、お任せください! 必ず奴を倒し姫の元へ向います!」


「約束よ!」

サラはそう言うと、キースと共に先を急いだ。

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