第33話 十四

<十四>


ジェイド、ロック、ヒョウはエリア十四に向かっていた。


十四……これはオッドの誕生日、

そして、シェリーと月のドライブに行ったあの日、そこから取られている。


十四日。


それはオッドに取って忘れられないとても大切な日。

オッドがシェリーのことを一生忘れないその想いから名付けられた。


森の中を歩きながら三人は色々な想いを胸に前進していた。


「あの……ジェイドさんとロックさんは王国の方ですよね。

王国は強者揃いと聞いています。その中でもあなた方はかなり強いですよね……」


「我々は王家を守る為の軍人だ。強くて当たり前だ」

ロックはそう言って説明を続けた。


「ジェイド様は将軍だ。軍のトップ。

前回の戦争にて武勲を上げられ将軍になられたお方。

私は中将で、ライは親衛隊。親衛隊は特に戦闘力が高いメンバーが配置されている」


そうロックが説明しているとジェイドも後に続いて補足の説明をした。


「中将以上は戦闘の才能以外に人を束ねる力も必要だ。

中将の中でも親衛隊出身のロックは一番の強さを持っている次期将軍候補だぞ」


そうジェイドが説明をしていると真っ黒なキューブ型の建物が見えて来た。


目の前に現れたのは、エリア十四。


入り口に近づくと、扉だけは真っ白だった。


「これがエリア十四か……何だか不気味な建物だな」

ヒョウが建物を見上げながら初めに口を開いた。


周りにはAI警察が配備されているが金の塔にてシステムダウンをしている為、

AI警察は直立不動状態だった。


「よし入ろう」

そうジェイドが言うと三人は中に入った。


「何だ……これは……」


ロックは目の前に広がる光景に唖然とした。

目の前にはドーム状の空間が広がり

宙に浮いたカプセルベットに民が個別に寝かされている。


外から見るエリア十四の大きさと内部はまったく異なり、

宇宙レベルともいえるような壮大な空間がそこには広がっていた。


「ようこそ。皆さーん」


遠くから声が聞こえる。


「誰だ!」

ジェイドが大きな声で壮大な空間に呼びかける。


「私の名前はオッドテクノロジー社 CTO ノウェル。

初めまして、皆さん。さっそくですが、ここから先は立ち入り禁止ですヨォ。

お引き取り下さい」


彼女は顎の下にある二つのイボを掻きながら言った。


「そうはいかない」

ジェイドがそう答えた。


「ここは関係者以外立ち入り禁止なのでね。

早く出ていかないとそれなりの対処が必要なるんですがね」


「出来るもんだったらやってみろ!」

ロックはノウェルに挑発的な態度で言い放った。


「仕様が無いですね、困りました。それでは、執行役員の皆さーん、

この人たちを排除しておしまいなさい」


そうノウェルが言うと、

真っ黒なスーツと真っ赤なネクタイをした二人の男が彼女の後ろからやってきた。


「ショウチイタシマシタ」


そう言うと二人はジェイド、ロック、ヒョウに両手を大きく開き、

長い爪で襲い掛かってきた。

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