第14話 王

<王>


「ベイン、ノウェル、まだキースは捕まらないのか?」


オッドの怒号が響き渡る。


「申し訳ございません。未だに二人の消息は不明とのことです」


「さすがキースだな、なかなか捕まらないのは予想していた通りだ。

だが、一日も早く捕獲しろ。

この計画を完成させることが我々にとって、

そしてこの星の未来にとって大切なことだ」


「承知しております。何としても叶えてみせます。それと、王がオッド様にお話があるとのこと。リモートで通信が繋がっておりますのでお繋ぎ致します」


「そうか。分かった」


オッドがそう答えるとベインが通信を開始した。

目の前に丸いディスプレイが表示され、

そこにはこの国の王が映し出された。


「オッド、久しぶりだな。この計画はいよいよ最終局面と聞いておるが、順調か」


「陛下、もちろんでございます。スケジュール通り進んでおります」


「いよいよ、我々が望む幸せな世界が作られること、とても嬉しく思うぞ。

今まで過去を振り返れば沢山の戦争が起こってきた。

その度に新たな勢力が国を統治し、

そしてまた戦争が起きる。


犠牲が生まれても何も変わらず学ばず同じことの繰り返し。


だからこそ、私とおぬしが考える選別、

この世界の最初で最後の“大掃除”が必要なのだ。


今までは犠牲があっても世界は変えられなかった。


だが、今回は違う。

確かに犠牲は生じるが確実に世界を変えられる。根本からじゃ。


心苦しい部分はもちろんあるが、

これは次のステージに行くために必要な犠牲だ。

だから、もう一度だけおぬしに伝えておくが最後のスクリーニングだけはしっかり行うように頼むな。

そこでミスがあれば、間違った民が残ることになる。

また、正しい民を間違って殺害することにもなる。

ミスは許されない。分かったな」


「承知しております、陛下。ご安心下さい」


「それならよい。念の為の忠告じゃ。オッドよ。宜しく頼む」


そういうと通信が切れた。

オッドは通信が終わると、

深呼吸をしてから少し笑みを浮かべ、ベインとノウェルに言った。


「あの王はこの国のただのお飾りだ。

それに仕えている貴族共もそうだ。

奴らこそ悪の遺伝子。

この計画の進行と共に殺害する。“例の計画”も進める様に」


「はい。承知致しました」


ベインと、ノウェルは同時に返事をした。

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