第13話 作戦

<作戦>


オッドが放ったAI警察がキース捕獲に向け捜索をしていた。


AI警察も我先にとキースを捕らえる為に必死だった。


何故なら、捕まえられなかったAI警察は無能扱いとなり廃棄となるからだ。


キース並みの感情は無くとも恐怖に対する感情を彼らは備えている。


キースは自身が開発したシールドにて敵から位置を把握されないようにしていた為、AI警察は探し出す事が出来ずにいた。


AI警察が捜索しているまさにその時、

キースは目を閉じ、

自分自身の能力の全てを振り絞って作戦を練っていた。


古びた倉庫を基地として、ヒョウはただキースの次の言葉を待っていた。


そして、キースはゆっくりと目を開いて口を開いた。


「それでは、作戦を伝えるよ」


「うん」


「先ず、AI警察の数が多いからAI警察をコントロールしているシステムをダウンさせる必要がある。

そして、そのコントロールをしているのはあの塔だ」


キースはそう言うと塔の方に指を差した。


「あの金色の塔?」


「そうだ、あの塔のシステムを破壊する事でAI警察のシステムが止まる。

それと同時にオッドテクノロジー社の防御システムも一部ダウンさせることが出来る。だから先ずはあの塔まで行かなければならない。


そして、僕がハッキングした情報によれば、

危険遺伝子と認識された民の肉体はその塔の西側にあるエリア十四に保管され、

意識データはコントロール室の格納器に転送されている。


何としても最後のスクリーニングまでに、

塔のシステムをダウンさせて、AI警察を止め、

オッドテクノロジー社に入り込み、

コントロール室の格納器から君の兄さんや

民の意識を肉体に戻さなければならない。


もちろん、ただ歩いて行っては捕まるだけだ。

だから、この倉庫の部品を使って今から君と僕専用の宇宙船を作る」


「え、今から!? こんなガラクタ部品で?」


「そうだよ。大丈夫」


そう言ってヒョウの肩をポンと叩くと

キースは辺りのガラクタを集め、作業を始めた。


キースは倉庫にある部品を一つ一つ使いながら小型宇宙船を仕上げていく。


そして、宇宙船と自身の意識が繋がるように意識転送が出来る仕様にした。

これは、より柔軟に飛行する為だ。

自分の思い描いた通りに飛行することが出来る。


「キース、君は天才だ。いや鬼才だ。こんな短時間で、そして鉄クズのガラクタ部品でここまでの物を仕上げるなんて」


「ヒョウ、驚くのはまだ早いよ。ここに今から大型熱線砲をつけて攻撃も可能にしていく」


「す、すげぇ…」


「よし、宇宙船が出来上がったよ。あとは、これだね。万が一攻撃を受けた時の為に防具も準備したよ。一着しかないから、これは君にあげる」


「え……良いの? でも……こんな薄いローブで守れるの?」


ヒョウは真っ白なローブに所々万華鏡を覗いた時に見えるような模様で彩られたローブを見ながら言った。


「大丈夫、これは物凄く強力だ。そこらの銃で撃たれても剣で切られても死にはしないよ」


そう言うと、直ぐにキースは宇宙船に乗り込み、宇宙船に意識を転送した。


「さぁ、乗って」


キースの口は動いていない。宇宙船から声が聞こえる。


「分かった。これはエデンプログラムの中にあった宇宙船と同じ仕組みだね。

自分の意識を宇宙船に転送して自分が宇宙船として自由に動ける。

こんなガラクタから作れるなんて驚きしかないよ」


そう言うとヒョウも宇宙船に乗り込んだ。


そして、ゆっくり機体は宙に浮き、

金色の塔に向かって飛び立った。

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