第9話 全て
<全て>
キースは走っていた。
そう、兄であるオッドと話す為に。
キースは走りながらたくさんの想いを巡らせた。
——兄を説得できるだろうか。
今からでも遅くは無いだろうか。
自分にそれが出来るだろうか——
キースは兄の計画の全てを知った。
キースという自分の存在、生まれた意味、自分が何者なのか。
兄の過去に何があったのか。
エデンプログラムの本当の目的は何か。
キースは走りながら過去にあった兄との出来事を思い出していた。
いつもカッコイイ、そして優しい兄の姿。
民のことを考えいつも様々なサービスのアイディアを生み出してきた
尊敬できる兄の姿。
しかし、
今は思い出せば思い出すほど切ない
社長室に到着したキースが扉を開くと
そこにはゲームの中に意識を転送した兄がいた。
クリスタルブラックの社長の椅子に座っている状態だった。
「社長室からも転送できるようにしていたんだ」
そう呟くとすぐさまキースは自身の意識をゲームの中に転送していった。
「ここの場所から兄さんの場所を探るにはマスタープログラムを使うしかないな」
エデンプログラムの開発者はキースだ。
ゲーム中のキャラクターがどこにいるのか探ることは簡単だ。
「よし、いたぞ、誰かと話しているようだ。そこに行こう」
転送プログラムを起動し今いる場所から、
オッドの所まで自身を転送させた。
そこには兄オッドが立っていた。
その目の前には二人の男性が横たわっていた。
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