第32話 再会

「久しぶりだね、まーくん」

私は、懐かしい人に声をかけた。


私は、飯塚紗枝。

旧姓、皆本紗枝。


夫と長男実と、長女咲代の、4人暮らし。

そして、新しい家族が増えた。


「ハハハ、紗枝はすっかりおばさんだな」

「まーくんは、変わらないね」

「僕は、歳の取り方が、人間よりも遅いからね」


そう。

彼は人ではあるが、異なる存在。

私たちの20年が彼にとっての一年。


「しかし、咲代さんは、お前の娘だね。すぐにわかったよ」

「だから、託したんだね。あの子たちを・・・」


私がまだ、うら若き高校生だった頃、不思議なファンシーショップがあった。

過去形にしたのは、すぐに消えたからだ。


私はそこで、ふたつのぬいぐるみを買った。

水牛のラルフと、獅子のアレックスだ。


「ふたりとも、元気そうだね」

「紗枝も、元気だけはいいね」

「それだけが、取り柄だからね」


ラルフとアイザック。

ぬいぐるみのような生物。


初めて彼らに会ったときは、驚いた。

まさか、このような生物がいるとは・・・


「まさか、また紗枝に会えるとはな」

「私も、不思議だよ」


私は、ラルフとアレックスを家族にしたいと思った。


だが・・・


この子たちを受け入れる勇気が、あと少し足りなかった。


「紗枝、今度はどう?」

「もう、同じ過ちはしない」

「それで安心。あの子たちを頼んだよ」


「ラルフとアレックスは、どうしたい?」

「僕たちは、請負人になります。世界中を旅して、他の子たちの里親を見つけます」


ふたりだけの・・・いや、4人か・・・

少しの時間の同窓会は、静かに幕を閉じだ・・・


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おうちにかえろうよ 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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