第29話 打ち上げ

「どっと疲れた」

私は、自室のベットに倒れこむ。


「お姉ちゃん、お年寄りみたいだね」

「まだ、若いのにね」


ベクちゃんとモワちゃんが、悪態をついているが、

反論する元気がない。


「お姉ちゃんは、打ち上げとか参加しなかったの?」

「打ち上げ?」


そういや、何か騒いでたな。

まあ、いいや。

寝たい。

それに限る。


「お姉ちゃん、ご飯とお風呂はいいの?」


ふたりは、はしゃいでいるが、誰のせいだ?


「お姉ちゃん、人のせいはよくないと思う」

ベクちゃんが、皮肉を言うが、それにはこう返す。


「あなたたちは、人じゃない」

私は二人をガン見するが・・・


「小さい子のせいにしないでほしい」

「お姉ちゃんは、そういうお年頃なんだよ」


その時、スマホが鳴った。


「お姉ちゃん、この曲は?」

「近鉄バファローズの歌」

「何それ?」

「私も知らない。お父さんが勝手に入れた」

「娘でも、それはよくないと思う」


モワちゃんが、もっともなことを言う。

でもいいの。


絶対に被らないから。

私たちの世代では・・・


「もしもし、あっ、あかり?えっ、打ち上げ今から来い?パス・・・

えっ、だめ?

私だけで、ベクちゃんとモワちゃんは・・・

なし・・・

うん。行く」


私は、起き上がり身支度をする。

と言っても、そのままだけど。


「お姉ちゃん、やはり打ち上げ行くの?」

「うん。どうしても来いって・・・」


ベクちゃんとモワちゃんは喜んでいる。


「わあい。モワちゃん、たくさん食べようね」

「うん。何が出るの?」

「美味しいものが出るよ。焼肉とかしゃぶしゃぶとかステーキとか」

「楽しみ。」


ふたりは、わくわくしているが・・・


「あなたたちはダメ」

「どうして?連れて行ってくれないの?」

「おとなしくするから」


ふたりは、私のスカートを引っ張る。

そのままでは手が届かないので、ジャンプして引っ張る。


かわいらしいが、ここは心を鬼にする。


「だめ、ばれたらどうするの?いられなくなるわよ。」

「やだ、食べたい」

「食べたい、食べたい」


ふたりは、子供のようにただをこねる。


「僕たち、子供だもん」


ややこしいな・・・


「とにかく。ダメ。お父さんやお母さんやお兄ちゃんと過ごしてね」


私は、そういうと会場へと向かう。


ぬいぐるみという事になっているのだから、食べられない。

蛇の生殺し状態になるので、これが吉だろう。


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