第23話切り込み隊長

文化祭が始まった。

(始まらなくて、いいのに)


どこをどう間違えたのか、体育館でやることになった。


私は舞台裏から、会場を見る。


「すごい人だね、あかり」

「うん、こころ目当てじゃないかな」

「こころ?」

「うん」

「でも、普通は落研とかのほうが、体育館でいいんじゃ」

「あれは、発表会みたいなものだから、講堂がいいって・・・」

「そうなんだ」


あかりと、軽く談笑する。


そろそろ、幕が開く。

最初は、クラスの男の子ふたりの漫才。


「ふたりとも、切り込み隊長がんばってね」

「まかしとけい」


ふたりは、壇上へと行く



「彼らのコンビ名は、たしかツイナ・・・あかり、どういう意味?」

「下から読んでみて」


納得・・・


練習していたし、普段から仲いいので、息はあっている。

でも・・・


あまり、受けは良くない。


拾ってみると・・・


「私は、あなたに助けてもらった蝉です。恩返しに着ました」

「記憶にない。人違いでは?」

「いえ。あなたに間違いないです。ミーンミーン。ほらね・・・」

「あっ、思い出した」

「それは、良かったです。では、恩返しを・・・」

「でも、俺が助けたのは、雄のツクツクホウシだぞ」

「間違えました、カナカナ・・・」



そこで、つっかえた。


アドリブだったようだ。


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