第15話心臓に悪い

「お帰り、咲代。デートどうだった?」

あかりが声をかけてくる。


「誰と?」

「とぼけないの。見てたよ、聖明といるところ」

「デートじゃない。」


「でも、いつの間に仲良くなったの?」

今度は、こころが声をかけてくる。


「さっき助けてもらったお礼を言っただけよ」

「そう・・・つまんない」

ふたりとも、つまらなそうだ。


どうして、女っていうのは、噂話が好きなんだろう。


「でも、もし咲代と恋人になったら、佐倉くんかわいそう」

あかりとは違い、こころはよほど親しくない限り、ファーストネームでは呼ばない。

私もだが・・・


「どうして?」

「訊きたい?」

「・・・いや・・・いいです」

私も、彼の恋人になったら、まーくんがかわいそうと思う。



「ベクちゃん、モワちゃん、こんにちは」

こころが、ふたりに話しかける。

「・・・って、話すわけないか、ぬいぐるみが・・・」


「こころお姉ちゃん、あかりお姉ちゃん、こんにちは」

「こんにちは。あかりお姉ちゃん、こころお姉ちゃん」


あかりと、こころは、目を丸くする。


「咲代、何か言った?」

「うん。もちろん・・・練習よ、練習」

「おっ、やる気だね」


あかりとこころは、拍手する。


心臓が止まりそうだが、ごまかせた。

帰ったら、お灸をすえないと・・・


後、両親と兄にも・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る