第12話お互い様
私の学校の校庭には、お花畑があり、憩いの場となっている。
そのつもりで、オーナーが作った。
まあ、会長の事だが・・・
ちなみに私学だ。
まあ、置いといて・・・
「で、ベクちゃんに、モワちゃん、詳しく教えて」
私は、ふたりを睨む。
「お姉ちゃん、怖いね」
「カルシウムが、足りないんだよ」
「だから、お胸が貧しいんだね」
「怒ると美容によくないのにね」
私は、カッとなる。
「ふたりとも、うるさい。それに私のバストは、83よ。誰が小さいって」
「ママ」
「お母さん?」
「私の娘なのに、83は小さい。87はあるべきだって」
ベクちゃんが言う。
女同士の話は怖い。
私がもめていると、気が付かなかったが、向こうで佐倉くんが人形を取り出している。
そして、会話をしているが・・・
そっか・・・
いっこく堂やるって言ってたから、その練習か・・・
「佐倉くん、がんばってるね」
「あっ、飯塚さん」
「かわいい、ぬいぐるみだね」
「・・・まあね・・・」
佐倉くんは、両手に二つのぬいぐるみを持っている。
「何のぬいぐるみ?」
「こっちが、水牛のラルフ。こっちが、獅子のアレックス」
「そうなんだ」
「ほら、挨拶」
佐倉くんは、ぬいぐるみを動かす。
「綺麗なお姉さん、初めまして。僕、ラルフです」
「僕は、アレックス。お会いできて、光栄です」
丁寧に挨拶をされる。
いっこく堂なので、腹話術なんだけどね・・・
「飯塚さんも、さっきやってたよね?練習」
「練習?」
「うん。聞こえてたよ。すごいね。負けてられないな」
佐倉くんは、感心してくれているが・・・
「ごめん。佐倉くん。違うの・・・」
良心が痛んだ、私は正直に話した。
「実はこの子たち、生物で生きているの。だから・・・君と違ってインチキになるの。ごめん」
「謝らなくていいよ」
「でも・・・」
「いいんだよ。だってそれは・・・」
「それは?」
次の佐倉くんの言葉に、驚いた。
「お互い様だから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます