第10話あり方
授業が進み、お昼となる。
私の高校は、進学校ではないので、体育祭とか文化祭とか、
そういうのに、力を入れている。
学生時代の思い出作りに力を入れているので、ありがたい。
でも、勉強をおろそかにしているわけでもなく、いい意味で「良く学び、良く遊べ」だ。
そんなわけで、お昼の時間となる。
「咲代、今日もたくさんだね」
「そう?」
あかりの問いに答える。
私は、たくさん食べている。
元気な女の子はたくさん食べる。
それが、モットーだ。
「あかりも、こころも、人の事言える?」
「そう?」
私たちは大食いだ。
その割に、痩せている。
なので、クラスの他の女子には、羨ましがられている。
女子高生らしい(と思う)、他愛のない会話に華を咲かせていた。
青春はいいな・・・
「咲代、お姉ちゃん、お腹空いた」
「僕も、何か食べたい」
突然の声に驚く。
すっかり忘れていたが、ベクちゃんとモワちゃんが、潜り込んでいたんだ。
「咲代、どうしたの?」
「スマホよ、スマホ。少し失礼するね」
私は、鞄と弁当を持って、駆け出した。
そして、階段のところで、溜息をつき・・・
「たく・・・良い子で待っててって言ったでしょ」
私は、ふたりを睨む。
「うん。だから、大人しくついてきたよ」
「いつ、潜り込んだの?」
私は、さらに睨む。
「お姉ちゃん・・・」
「何?モワちゃん」
「お姉ちゃん・・・怖い・・・」
モワちゃんが、涙ぐむ。
泣きたいのはこっちだよ。
「じゃあ、いつ潜り込んだかというとね」
「説明、お願いします。ベクちゃん先生」
「お姉ちゃんが、部屋を出る前に鏡で、制服のリボンを整えてたよね」
「それが何か」
「その間に」
その間って、わずか5秒だよ。せいぜい。
「お姉ちゃんを守るように、よろしく頼まれたから」
「誰に?」
「パパとママとお兄ちゃん」
「誰の?」
「咲代お姉ちゃんの」
私は、固まった。
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