第5話ふたりの弟

「咲代、まだ起きてたのか?」


やばい。

お父さんが来る。


「ううん、喉がかわいたから。お休み」

「ああ。お休み」


私は、ふたりを抱えて、自室に戻った。


ドアを閉めると、私はため息をつく。

そして、ふたりのぬいぐるみをベットに置いた。


「さあ、話を聞かせてもらうわね」

私は、ふたりをにらむ。


「お兄ちゃん、このお姉ちゃん怖い」

「大丈夫だよ。僕がいるからね」

ふたりは、怯えている。


「冗談よ。何もしないから安心して」

私は満面の笑みを浮かべる。


ふたりは、安心したように、笑みを浮かべる。


「ねえ、君たちは何者なの?」

私は、優しく語りかけた。


「僕はベクちゃん。この子はモワちゃん。」

ふたりはおじぎをする。


「ベクに、モワね」

「ううん。ベクちゃんにモワちゃん。ちゃんは敬称ではなく、名前の一部だよ」

「そうなんだ・・・で、何者なの?」


私はふたりの話を聞いた。


「僕たちは、生物だよ。命のあるね」

「生物?」

「そうだよ。」


ぬいぐるみみたいな生物がいる世界が存在するの?


「でも、どうしてあのお店にいたの?」

私は、尋ねた。


「僕たち、いろいろな所を冒険してたんだ」

ベクちゃんが言う。

モワちゃんは、ベクちゃんにしがみついている。


「何のために?」

「僕たちは、人間になりたいんだ」

「人間に?どうして?」

「いろいろなところに行ける。美味しい物を食べられる。いいことずくめだもん」

ベクちゃんは、目を輝かせている。


「でね、あのお店にいたんだ。人間になるためには、人間と生活するのが一番と思い、

そしたら、咲代お姉ちゃんが、ここへ連れてきたくれたんだ」

ベクちゃんが話をしてくれるなか、モワちゃんは、相槌しかしない。


本当の兄弟みたいだ。


「じゃあ、あの店の店員さんが言ってたのは、本当に意味だったんだ」

「うん、そうだよ」


そうなのか・・・


「えっ、じゃああのお店は?」

「僕たちの世界の移動出張店だよ」


納得をした。


だからお母さんは不思議がってたのか・・・

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