第5話 能力

どれくらい歩いただろうか。2時間は歩いた。リミットがあるので焦るが、グループの半分が女子なので急ぎする訳にはいかない。

「ねぇ!ドアがある!」

秋本の言う通り突然目の前に大きなドアが現れた。開けるには手をかざす必要があり、全員がコンピューターに認識されると解錠された。

中には、八つの玉があった。自分の取る玉は指定されており、手に取ると体の中に吸収されなくなった。

「おい、何だよこれ。体に入ったのはいいが、何もねぇじゃねぇかよ、クソが。」

「時田様、そう怒らないでください。今皆様に取り入れてもらった玉は能力玉でございます。玉を取り入れたことにより、全員が違う能力を所持されました。今は自分が何の能力を持っているのかはお分かりになることは出来ません。」

自分の能力が気になるところだが、分からないなら仕方ない。Xが続けて話す。

「これから皆様が挑むのは時代ワープです。」

名前だけはあのロボット猫がポケットから出しそうな可愛らしい名前である。

「Cグループは戦国時代から安土桃山時代にかけてワープしてもらいます。クリアするための方法は至って簡単。史実通りに生きてください。」

「もし、ワープ先で全員が死んでしまうとゲームオーバーとなります。誰か一人ないし二人が死んだ場合でも、残りのメンバーでクリアすることが出来れば、ゲームオーバーとはなりません。ワープ先では一時間が一年となります。」

「つまり、今、残り八時間なので、ワープ先で八年分史実通りに生きることが出来たらクリアということでいいですね?」

「さすが、瑠依!ねえねえXさんー。もう少し、注文システムのレパートリー増やしてー。」

「鈴岡様、左様でございます。白石様、ご検討させていただきます。」

白石のどうでもいい質問で気が緩んだ。

「それではワープしていただきます。ご健闘されることを願っております。」

最初に教室から飛んだ時のように当たりが真っ白になった。

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