第4話 一歩

蒼井と薙と離れたことは忘れよう。今はこのメンバーで生きることだけを考えるんだ-

「頼くん。一緒だね。私たち頑張るしかないよね…」

秋本美玖莉。女子でありながら運動神経が抜群に良い、女子バレーボール部のエース。蒼井と仲が良く、身長もありながら、巨乳でクラスでも男子の中での人気投票ではいつも蒼井と1位争いをする。俺は蒼井派だが何気に秋本も気になる。

「うん。前に進むしかないよ。頑張ろう。」

そうは言ったものの、実際俺も不安でしかない。

「ねぇ、泰伍くん。頼くん。僕、死にたくない。」

湯川賢士。小柄で幼い感じの男子。帰宅部で、運動はあまり得意ではないらしいが、コンピューターに強いらしい。

「そんなん誰だって、同じだろ、チビが。ゲームオーバーにならなきゃいいんだろ。単純じゃねえか。」

時田駿。中学の頃は何回も暴力沙汰を起こし恐れられてきたが、沢村先生と出会ってからは不思議なことにまだ一度もない。これも沢村先生が好かれるひとつの理由だ。しかし、今でも怒らせると怖く、口が悪い。

「瑠依ちゃん。このおにぎり意外と美味しいよ!案外幸せかもーー。」

白石夢。鈴岡にいつもくっついてる太めの女子。何かしら食べておかないと不安になるらしい。基本何も考えてない馬鹿で、こんな状況でも悠々とおにぎりを食べれるのはある意味凄いのかもしれない。

そして、俺らのCにはもう一人女子がいる。

黛一華。彼女が話してるところを見たことがある者は一人もいない。いつも本を読んでおり、昔、蒼井が話しかけたが無視した感じが悪いイメージの人だ。このサバイバルゲームの中では流石に、話すだろうと思ってるが、こういう人がいると進みにくいのも確かだ。

「タイムリミットは10時間しかない。俺たちCは真ん中の道だな。ここからはどうなるかわからないが、不安なのは皆同じだ。仲良く、一致団結して、前に進もう。」

こういう時の泰伍は最高だ。

蒼井と薙が手を振っている。また後から逢おう。そう誓って真ん中の道に足を踏み入れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る