第2話 状況

どうなってんだ。わかっていることは、いつも通り、学校に登校して、HR受けてる途中に辺りが真っ白になって、目が覚めたら何も物がない教室、ただ、担任の沢村先生だけがいない。突然の事で誰も喋らない。

「一旦、みんな落ち着こう!」

沈黙を破ったのはクラス委員の香西泰伍だった。野球部キャプテンであり、人をまとめる能力に長けているので沢村先生が委員に指名した。サッカー部のキャプテンである俺は泰伍と仲が良い。

「教室の外はどうなってるんだ。頼、ドアを開けてみてくれ。」

泰伍に言われるがままドアを開けた。外の景色に唖然とした。そこには、廊下ではなく、暗闇の中に5本道があった。

「-どうなってるんだ…」

教室がざわめきだす。中には泣くものもいた。

「頼くん!スマホも使えない!」

蒼井が半泣きになりながら言ってくる。不覚にもこのような状況下なのに、泣き顔も可愛いと思ってしまった。

キーンコーンカーンコーン

急にチャイムがなった。

「こんにちは2年2組の皆様。私はここのサバイバルゲームの支配人です。そうですね。これからはXと名乗りましょう。」

突然変声機を通しての声が流れてきた。

「いきなりのことで状況がお分かりになられてないでしょう。説明致します。ここは異世界。あなた達にはサバイバルゲームをしていただきます。1人ライフは1つ。ライフが無くなると、そこでゲームオーバーとなります。」

「おい、ちょっと待てよ!ゲームオーバーになったら死ぬのかよ!」

村井浩太。いつも落ち着きがなく、沢村先生も手を焼いている生徒だ。俺もそんなに得意ではない。そんな浩太が焦ったように聞く。たしかに、そこはみんな気になるだろう。

「浩太様。察しがよろしいですね。今あなた方は2つの体を持っております。現実世界にある体と、今動かされてる異世界の体。ちなみに、今は現実世界の体は睡眠状態となっております。そう今は。」

「もし、ゲームオーバーになられますと、現実世界の体も消えてしまいます。」

「死ぬってことかよ。」

「左様でございます。先に申し上げておきますが、途中棄権はできません。」

恐怖のあまり声も出なかった。ゲームオーバーになれば死んでしまう。逃げ出したいと思った。それは俺だけでなく、クラスの全員だろう。蒼井を見ると、放心状態になっている。

「それでは、詳細を説明致しましょう。」

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