39人のクラスメイト

赤坂ペンギン

第1話 教室

俺、田中頼は私立雛ケ丘学園高校2年2組27番。席は教室の左から5列目の前から2番目。あ、昨日席替えしたから1番右の1番前、英語の授業で1番当たる席に変わったんだった。

「おはよぉ!今日朝提出の課題ってある?」

蒼井真希。クラスのマドンナで、席替えして唯一の救いが、蒼井と隣の席になったことである。

「数学のプリントが1枚提出だよ。」

「ありがとー!」

会話が終わってしまった。しかし、朝から少し喋れただけで満足だ。

「頼。数学の課題の答え教えて。」

幸村薙。小学校からの幼なじみ。薙の祖父は日本でも大手の幸村貿易の創設者で、父が2代目。いづれは薙が跡継ぎとなるだろう。顔も整って、性格も良く、身長も高く完璧だが、勉強が全くできないのが玉に瑕である。

「全員席につけ。HR始めるぞ。」

担任の沢村先生。他のクラスと比べても当たりの先生だ。50歳で、見た目はいかにも中年のおっさんだがどこか包容力がある優しい先生である。

「えー、今日の昼休みに風紀委員は職員室前に集合だそうだ。そして、放課後には…」

視界が急に真っ白になった。周りの声も何も聞こえない。次の瞬間、体の感覚がなくなり意識が飛んだ-


「おい、起きろ。頼。起きろ!」

薙の声が聞こえる。目を開けると、そこは教室のままだった。しかし、机も椅子も何も無かった。俺も含めた40人全員がいたが、沢村先生の姿はなかった。

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