第7話 ギルド
「へえ~ここが冒険者ギルドか」
「ん」
石積になっている大きな建物を見上げ、フードを深く被る二人がいた。
「なんか黒くて不気味な感じの建物だな、あのマークはなんだ?」
冒険者ギルドの建物に大きく飾ってある不思議な紋章のようなマークを指差し疑問を抱く。普通こういうのって剣とか盾とかだよなと思い『なんだこれ』と首をかしげる。
チラッと質問をした少女の方を見ると、少女はこめかみに指を差し考えてるようだ。
「んー · · · · · · どこかで聞いたことある気がするけど、忘れちゃった」
「そうか · · · · · · 」
「緊張してるの?」
「わかる?」
隣の少女は『うん』と答え、俺の空いていた右手をぎゅっと握り、いくぞと言うかのように引かれる
「ちょ、ちょっと待って」
つられて足を前にだし扉をくぐる。
「おお、これがギルド」
目の前に広がる光景に感動する。
目をキョロキョロし、あっちには鎧を来たデカ男、あっちには上裸の筋肉質な男、あっちには魔女、あっちにはかなりきわどい服装をする女性、あっちには猫耳の女性、あっちには間違いなくR15指定はいくであろう女性がこちらに手を振っている。
一人の男としてこれは手を振り返さねばなるまいと思い手を振ろうとすると――
「うわっ!?」
突然体が引っ張られる。
「はやくいくよ」
「わかったわかった、わかったから!」
ぐいぐいと手を引っ張られながら歩く、そしてギルド内の掲示板の前で立ち止まり掲示板に張ってある指名手配をざっと目を遠し安堵の息を漏らす。
「よかった、指名手配はされていないみたいだな」
ほっとし、胸を撫で下ろす、あらかた魔獣に食われたかのたれ死んでると思われてるのだろう。
『ちっ』と舌を打ち『随分舐め腐ってるな、まぁ、そのお陰で助かったけど』と呟きながら掲示板を眺める。
「······腹立つな、さっさと登録するか」
「うん、あんまり長居したくない」
「同感だ」
同調した二人が手を繋ぎながら足早に受付に向かい、受付の前で立ち止まると茶色の長髪を巻いているメガネをかけた受付嬢がこちらに気づく。
「アンシアーノギルドへようこそ!始めてみる顔ですね、冒険者登録ですか?それとも依頼の発注ですか?」
「えっと、冒険者登録をしに」
「はい!わかりました。冒険者登録ですね!ではご年齢とお名前をお願いします」
「あー······名前はリョウ・クラーク、18才です」
どうしよう、とっさに顔に似合わないカッコいい名前にしてしまった。どっからどう見ても嘘っぽいが。
「はい、ありがとうございます。そちらの少女も一緒にですか?どういう関係で?」
「······妹です」
「「えっ」」
とっさの妹です発言に、ずっとだんまりしていたクロハと受付嬢の声が重なった
「本当にそうなんですか?お名前を伺っても?」
受付嬢がクロハヘ向かって本当に兄妹なのか真偽を確かめようとしている。
これは、とっさとはいえあまりにも無理のある嘘だ、まずクロハが美少女すぎて俺と全く似てない、そして決め手がクロハのけもみみと尻尾だ。
これはどうしようもない、すまんとクロハをみると、わかりずらいが呆れた表情をしていた。
「クロハ・クラークです。ちゃんと兄妹ですよ。」
とっさの名前に合わしてくれて、クロハは少々顔を赤くし続ける
「ねっ!リョウお兄ちゃん!」
「「えっ」」
思いもよらない声で『お兄ちゃん』と聞こえ、受付嬢のお姉さんと自分の声が重なった。
驚愕と歓喜が重なりじっとクロハを見る。
「顔真っ赤じゃん!」
「うるさいよ、お兄ちゃん」
睨まれた、凄い眼力だ、無茶振りした事は後で謝ろう。
「ま、まぁ怪しくないとわかりましたのでリョウ・ さんを冒険者として登録致します」
「あ、ありがとうございます」
「冒険者になるにあたり、説明事項が何点かあります」
「はぁ······」
これは長くなるやつだ、何かしら登録だの契約だのすると説明やら手続きやらで長くなるのは異世界でも同じなのかと思い、憂鬱になる。
「一つ目は、ギルドは王国が管理する7区域に別れており、区域毎にギルドが存在します。そしてギルドの依頼はほとんど一般の依頼ですがごく稀に王国が依頼や主催することもあります、その際は拒否は認められませんのでご了承を」
「「······」」
「二つ目は、先程お話ししましたが区域毎に管轄するギルドがこのギルドを合わせて7個ありますが、ギルド内での争い事はペナルティが課せられますのでご注意を」
「「······」」
「最後に、冒険者ランクについてです。冒険者はランク毎に受けれる任務がちがくなっています。冒険者ランクは達成した依頼に応じて下からプラチナ、金、銀、青、紫、赤、一番上位のランクが黒になります」
「じゃあお兄ちゃんはプラチナからだね」
ずっとだんまりたったクロハがランクを教えてくれる。
「そっか、プラチナか、悪いきはしないな」
それもそのはずだ、俺の知ってる限りだとプラチナやゴールド、虹色などが上位にくると思っていた。だが上位が黒なのもまた納得できた、空手や柔道とかも黒だったからな。
「はい、ではアンジアーノギルドにてリョウ・クラーク様の登録が完了致しました。これをお渡し致します」
「あ、はい」
受付嬢のお姉さんから何かをもらい受け手元を確認すると、そこには、ギルドに飾ってあった意味不明で不思議なマークのプラチナ色のペンダントがあった。
「はい、それはリョウ様が冒険者であるという身分証明みたいなものです。それがあればどこのギルドでも依頼を受けれます。なるべく失くさないよう気お付けてください」
「「ありがとうございます」」
二人で登録完了のお礼を言い受付を離れそのまま依頼が貼ってある掲示板へ向かう。
「お金もないし、なんか受けようか」
「うん」
「最初は無難なクエストを······」
危険のない無難なクエストを探しているとクロハが一枚の依頼書を目の前にちらつかせる。
「これはどう?」
差し出された依頼書に目を通す。
「これは、デビルベアー5体討伐?」
依頼書に標的の写真が張ってある。
これは、この異世界に来て一番最初に倒した魔獣だしここにくる途中にも何体か倒した縁のある魔獣だ。
再生の恩恵もあるし倒せない事はないが。
「5体か結構多いな······」
「群れで行動しなくて縄張りを魔獣同士で争うから一番倒しよやすいよ」
「なんかもっとこう――スライムみたいな雑魚はいないの?」
雑魚と言えばスライムだ一番安全だろう。
「スライムは臆病で滅多に見つからないんだよ」
この世界ではスライムはレアで商売人の間で高値で取り引きされているらしい。
「よし、少し不安だが、いくか!」
「うん!」
そう言い掲示板から依頼書を剥がし受付に持っていき、依頼を受注し、二人はギルドを後にする。
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