第二話
クライアントの男性は、私の能力を認めれくれたらしい。
あの場所にいた関係者、全員も認めてくれた。
関係者の表情は、超一流のマジシャンのマジックを見せられたような顔をしていたが。
クライアントの男性は顔色一つ変えなかった。異能者のことを理解している人物だ。ママの会社に依頼をしてきているのだから、当然か。
ただ違ったのは、クライアントの男性以外の人たちだ。
無理もない話。彼ら自身が知っていることは一つ、私が本当にタネも仕掛もしていない事実のみ。
一メートルも離れていない距離から放たれた銃弾を片手で虫を捕まえるように受け止めたこの事実。自分たちの知っている現実と違う現実を見たのだから。
彼らの反応は、正解だ。
これで、クライアントの男性からの信頼と、その他の人たちからの信頼を得た私は。仕事に取り掛かることができる。
そうそう、私が受け持っている仕事は、『
この異特殊案件とは、簡単に説明するならば。オバケ退治、有名な映画のゴースト・バスターズをイメージしてもらえると分かりやすいと思う。
あと、"異"という言葉がついていない仕事もある。その場合は、普通に『
特殊案件は、お寺さんや神主さんや霊媒師さんなどがされている。"除霊"や"お祓い"と言った、一般人でも知っている幽霊関係の仕事のことだ。
では、仕事に取り掛かりますか。
その場所は人が入らないように高い鉄板で覆われおり。立ち入り禁止の看板が掲げられ、鉄柵がしてある部分から敷地内に少し大きな建物が見える。
クライアントとの駐車している位置からも、その建物が見える。
少し大きな建物は、老朽化した工場だ。大きな看板が掲げられていた跡が残っているで分かった。工場は、所々、屋根が剥がれているし壁も崩れて少し中が見える。
中小零細企業にこの時代は厳しい……、倒産だ。
この工場も倒産し売却され、このクライアントの男性が購入した。という流れだ。
倒産、売却、購入という普通の流れなら、私の出番ない。
この工場は……、"事故物件"というヤツだ。でも、それもクライアントの男性は了承し購入しているので問題ない。
私の出番があるということは、この事故物件は"ただの事故物件"ではない。
まず、最初の犠牲者は、神主さんだった。
解体作業工事の安全祈願の最中に急に発狂し! 持っていた
ニュースにはならない、ニュースにできないネタだ。
最終的に病死で処理された。
次は、ニュースになった。
解体工事中に、解体作業が三人死亡した。
解体現場の足場が崩れて落下、作業手順に問題があったという内容のニュースだ。
しかし、これは真実ではない。
実際は……、三人の作業員が手を繋ぎ合わせ同時に高所の作業場から飛び降りたというのが、この事件の真実だ。
こんなオカルト的なニュースを地上波で放送できるわけがない。だから事故ということで処理された。
それからママの会社に依頼される前に。また、一人死んだ。
これは、
ただし、失敗して死んだ。
これも、ニュースにならなかった。
腹を引き裂かれ、
一見すると猟奇殺人事件だが。
報道されることもないし、警察も事件として扱わない。
これは特殊案件、または、異特殊案件を仕事にしている人間が死んだ場合は、報道もされないし、事件扱いにならない。
どちらも非日常な世界の出来事を意味しているからだ。
この業界に携わる者と、ある一部の関係者だけがしっている本当の世界の理。
そして……。
特殊案件の相手が凶悪で通常では対応できないとき、呼び名が変わる。"特殊案件"から"異特殊案件"に。
この世界の異なる者と戦えるモノ、異能者の中でも戦闘に特化した異能者の仕事へ。
「それじゃ! ハイリスク・ハイリターンのお仕事を始めますか!」
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