第二話 私にも使えました、魔法


 いやでも夫人の名前も姉の名前も違ったような……いやいや、考えている暇はないか。

 急いで部屋を出て暖炉に火を入れ、食事を作っていく。作り置きしているスープを温めパンを火であぶり、バターを用意しゆで卵とサラダをざくっと作って食堂に運び継母と義理の姉が来る前にセッティングをする。昔はもうちょっといいものが食べられたのだが、義理の姉たちのデピュタントのためだとかで散財し逼迫している。あの人たちは金が勝手に増えるとでも思っているのだろうか? それとも何かに投資でもしているのか。今のところ全然お金が入ってくる様子はなく、家具や絵画が売られて行っているのだが。あれも個人的には思い出の品が多いので腹立たしい。

 ナイフとフォークを並べ終えたところで継母と義理の姉たちが入ってきた。セーフ。

 継母はちらっと私を見るとフンと鼻を鳴らして席に近づく。私は無言で椅子を引いた。ちなみに義理姉たちも私が椅子を引くのを待っているので立ちっぱなしだ。毎回これで遅い、愚図、鈍間と文句を言われる。どうしろと。分身でもしろということか。

 今日も同様に言われたのだが、いつもと違う事があった。


===

不幸ポイント13獲得。

不幸ポイント12獲得。

不幸ポイント14獲得。

不幸ポイント10獲得。

不幸ポイント12獲得。

===


 なんかポーンポーンという音と共に、ポイントを獲得していた。

 ちらっと視界の端にあるステータスを見ると、下の方にある不幸ポイントなるものが増えていっている。

 なんなんだこれはと思いながら給仕をしていると、なんだかんだ嫌味を言われるのだが、それと同時に不幸ポイントもポーンポーンと音と一緒に増えていく。音が鳴るタイミングが良すぎてギャグのようだ。

 混乱しながらも日々の雑用と継母と姉妹が命じたことを済ませていく。自分の時間を取れたのはいつも通り夜中だった。

 いつもならさあ寝るかとさっさと寝るところなのだが、この日はさすがに例のステータスの事が気になっていたので眠い目をこすり暗い部屋の中で確認する事にした。のだが、いきなり脳内に白い画面が広がりピンポーンと音が鳴って固まった。


===

不幸ルームに初めて入出しました。

===

不幸な新人:

なにこれ……


不幸なねこ:

あら、新入りさんだわ。


不幸なたこ:

新人とは久しぶりですね。


不幸なえび:

おうおうようこそ、まずは説明が必要かな?


不幸なわに:

きっと戸惑っているでしょうね。


不幸ないぬ:

じゃあ俺が説明を


不幸なねこ:

ねえ、大丈夫? まずはこんにちは、と強く思ってみて?


不幸ないぬ:

ねこ、わざと邪魔するな!


不幸なねこ:

あら邪魔だなんて。いやだわ被害妄想ね。


不幸ないぬ:

なんだと!


不幸なえび:

喧嘩はよそでやれと言ってるだろ。新入りが発言し辛いだろうが。

おーい、お前の頭はいかれてないから、とにかくなんでもいいから話すように考えてみてくれるか?


不幸な新入り:

えっと……こんにちは?


不幸なえび:

お! うまいぞ! そうそうそういう感じだ。初めてで戸惑ってるだろうが、まずはあんたの頭はいかれてもないし、俺たちは妄想の産物でもないから安心してくれ。あぁあと、いぬやねこやえびたこわにがいるが、全部人間だからな。


不幸な新入り:

いや……海産物に安心してくれと言われても……


不幸なわに:

おやおや。今回の新入りは冷静ですね。


不幸なたこ:

いぬもねこも散々でしたからね。


不幸なねこ:

ちょっとー、昔の事はいいじゃない。


不幸ないぬ:

昔の事は今は関係ないだろ!


不幸なわに:

ほらほら、新入りさんがポカーンとしてしまいますから。

新入りさん? あなたは今日、不幸ポイントというものを獲得されたと思うのですが。どうでしょうか?


不幸な新入り:

あ、はい。なんかポーンと鳴って頭の中に不幸ポイント獲得とか、称号獲得とか。


不幸なわに:

その称号、なんというものですか? それと格はわかりますか?

ちなみに私は称号『ドブさらい』に、格は『低位』です。


不幸な新入り:

えーと、称号が『灰かぶり』で、格は『最上位』でした。


不幸ないぬ:


不幸なねこ:


不幸なえび:

わはは! やべえのきた! 最上っつったらヒトデの野郎以来じゃねえか!


不幸なたこ:

そうですね。ヒトデがそうですけど、彼は今は忙しいでしょうから来ないでしょう。残念。


不幸なわに:

なかなかなものを引かれましたね。

この称号と格はですね、不幸ポイントで取得できるスキルの種類を決めるものなんですよ。最上となると、全てのスキルを取得出来ますから、この先楽しみですね。


不幸な新入り:

はぁ。あの、スキルっていうのはこのステータスみたいなのにある、下のところのこれですか?


不幸なわに:

ええそうです。そこまで確認されているのなら話は早い。

我々もそのステータス画面を使ってスキルを獲得し、自分達の置かれている環境から抜け出してきた者たちなんですよ。いわば、あなたの先輩のようなものです。


不幸な新入り:

……なるほど? これって私だけではないって事ですか。


不幸なわに:

差し支えなければステータスについて教えていただければスキルについて何を取得した方がいいか助言できるかと思うのですがどうでしょう?

もちろんステータスの値についてもどういったものかお教えしますよ。


不幸なねこ:

あ、ちょっと、わに、自分好みの構成にしようとしてるでしょ!


不幸ないぬ:

なに!? わに、卑怯だぞ!


不幸なわに:

選ぶ権利は新入りさんにあるのですから、助言したければあなたがたもすればいいでしょう。


不幸ないぬ:

そうか! なら俺も助言しよう! えっと、とりあえず鉄の胃袋はいいぞ!


不幸なねこ:

いぬ……いきなりそれだけ言ってもわからないでしょ……


不幸な新入り:

えー……はい。いきなり鉄の胃袋と言われても……えーと、とりあえずどんなスキルがあるのか確認してきてもいいでしょうか?


不幸なわに:

ええどうぞ。我々は誰かしらここにいるでしょうから、遠慮なく質問してくださいね。

退室は念じれば退室できますし、ここに来たいときはそう念じれば来ることが出来ます。それと、ここは夜の間しかこれませんから。そこだけ注意をしてください。


不幸な新入り:

ありがとうございます。ではちょっと失礼します。

===

不幸ルームを退室しました。

===


 私はふぅと息を吐いてずれていた毛布をかぶり直した。

 なんだかゲームの世界のような事が起きているが、身を切るような寒さは現実だし、手も足もあかぎれでかじかみ細かく震えている。

 とりあえずステータスかと呟きステータスの下の方にある▼を意識すると、スキルの一覧と思われるものが出てきた。


取得可能スキル一覧

格闘術、柔術、蹴撃術、小剣術、短剣術、刺突剣術、曲剣術、片手剣術、両手剣術、刀術、薙刀術、槍術、鉾術、銛術、斧術、鎌術、棒術、杖術、鎚術、棍術、節棍術、鞭術、鎖術、鎖鎌術、爪術、暗器術、鉄扇術、操糸術、投網術、吹矢術、弓術、投擲術、小盾術、大盾術、光魔法、闇魔法、火魔法、水魔法、風魔法、土魔法、無魔法、召喚魔法、回復魔法、付与魔法、精霊魔法、妖精魔法、創造魔法、時魔法、空間魔法、精神魔法、重力魔法、妖術、禁術、占星術、採取術、採掘術、精錬術、魔法陣、毒耐性、熱耐性、冷耐性、斬撃耐性、打撃耐性、腕力強化、脚力強化、胃袋強化、鉄の胃袋、鋼鉄の胃袋、鉄の身体、鋼鉄の身体、精神耐性、鉄の精神、鋼鉄の精神、熟成、発酵、乾燥、粉砕、結晶化、解体、飼育、栽培、調合、鍛冶、木工、石工、硝子工、彫金、大工、錬金、舞踏、演奏、鑑定、隠蔽――


 とりあえず、あまりの量に目頭を揉む。これはちょっと疲れた頭では辛い。私は先ほどの不思議な白い画面を思い出し戻るよう強く念じた。


===

不幸ルームに入室しました。

===

不幸な新人:

あの、すみません。ちょっと教えていただきたいのですが。


不幸なわに:

おかえりなさい。どうぞ、遠慮なく。


不幸なねこ:

おかえりなさい。いいわよ、言ってごらんなさい。


不幸ないぬ:

なんだ?


不幸な新人:

スキルをちょっと見ただけでかなりの量があったので、出来ればおすすめがあれば教えて頂けないかなって思いまして。あ、ステータスはこんな感じです。


HP  111/134

MP  12/12

STR  34

VIT  32

INT  11

DEX  41

AGI  42

LUC  9

称号 灰かぶり

スキル 料理 4/10 習得率77

    掃除 4/10 習得率63

    洗濯 4/10 習得率51

    裁縫 3/10 取得率79

    話術 3/10 習得率12

    儀礼 8/10 習得率31

    算術 6/10 習得率11

    体術 2/10 習得率21

    長剣術 3/10 習得率95

    精神耐性 6/10 習得率88


不幸なねこ:

あら? あなた前衛よりなのね。


不幸なえび:

鍛えていない状態でこれは有望だな!


不幸なわに:

ちなみに、新入りさんは今一番困っている事はなんですか?


不幸な新人:

えーと、寒い事ですかね。毎日凍死しそうで。


不幸なねこ:

あらぁ昔を思い出しちゃうわ。


不幸ないぬ:

寒いのは辛いよなぁ……腹減るのもきついけど。


不幸なわに:

でしたら、まずは冷耐性を取られて、その後に火魔法を……と、思いましたがこのステータスだと保温魔法は難しいでしょうから……今保持しているポイントはいくつありますか?


不幸な新人:

えっと今373531です。


不幸なねこ:

さっ


不幸ないぬ:

さんじゅうななまん……


不幸なわに:

それであれば先にステータスのINTを40まで上げて、それから火魔法を取ってみてください。そうすると自分の周囲の温度を一定に保つ事が出来るようになりますよ。人がいるところでは冷耐性で凌いで、一人になったところで温まる事をお勧めします。


不幸な新人:

なんだか私の環境が見えているみたいですね。


不幸なわに:

ここにいるものはみな、似たような境遇ですから。それよりも、食事はとれていますか? 暴力などは振るわれていませんか?


不幸なねこ:

そうそう、衣食住は重要よ、これがしっかりしていないと肉体も精神も疲弊しちゃうから。


不幸ないぬ:

でもこいつ精神耐性6もあるぞ。あと少しで上がりそうだし。


不幸なわに:

それとこれとは別でしょう。耐えられるからといって平気というわけではありません。

もし現状が辛くて耐えられないようでしたら、ステータスのLUCを少し、5ぐらいあげてみてください。獲得ポイントは減ってしまいますが、多少良くなると思います。


不幸な新人:

いえ、まぁ平気というわけでもないですけど、死にたくなるほど辛いってわけでもないので大丈夫です。ちなみに食事の問題や暴力に関しては対策がとれるスキルはありますか?


不幸なわに:

食事に関しては、悪食、鉄の胃袋、鋼鉄の胃袋あたりでしょうか。おすすめは鋼鉄の胃袋です。どんなものを食べても平気になります。


不幸ないぬ:

鋼鉄のか……ヒトデの兄貴が持ってるやつだよな。俺は取れなかったけど。


不幸なねこ:

毒まで食べるやつね。ヒトデには必須スキルでしょう。


不幸なわに:

暴力に関しては、受け流すというのなら体術のレベルをあげれば出来るようになります。耐えるという方向でしたら、鋼鉄の身体が有効でしょう。文字通り攻撃が通らなくなります。


不幸なねこ:

あ、ちなみに攻撃じゃないなら普通のお肌だからね? 私も鉄の身体を持ってるけど、自分で触ったりするぶんにはもちもちよ?


不幸な新人:

なるほど、ありがとうございます。とても勉強になります。


不幸ないぬ:

なあ、新入りは何をしたいとかってのは無いのか?


不幸な新人:

何をしたい?


不幸ないぬ:

ほら、虐げてくる人間を見返してやりたいとか、仕返ししてやりたいとか。


不幸な新人:

……仕返し。


不幸なわに:

新入りさんは今はまだ日々生きるので精一杯の筈です。そういう目標は余裕が生まれてから出てくるものですよ。


不幸な新人:

あ、いえ。予定はあるんですけど、仕返しとかはあんまり興味がなかったな、と。


不幸なねこ:

ドライね。ってことは、無関心という環境なのかしら。


不幸な新人:

いえ、継母となった方にうちの使用人全て辞めさせられて、今は私が使用人やってます。


不幸なねこ:

あー……そういう、ね。答えたくなければ答えなくてもいいけど、父親は?


不幸な新人:

半年前に流行り病で。


不幸ないぬ:

って事は、その継母と二人で暮らしてるのか?


不幸な新人:

いえ、義理の姉が二人います。


不幸なねこ:

はいはい、継母とグルなのね。それ。


不幸な新人:

まぁそうですね。毎日賑やかに暮らしておられますよ。


不幸ないぬ:

平然としてるな……


不幸なねこ:

そんなわけないじゃない。そうならざる得ない環境なだけでしょ。


不幸ないぬ:

なんだよ、ねこだって想像してるだけだろ。


不幸なわに:

はい、ここで争わない。もうあなたたちは何度目ですか。

すみませんね、新入りさん。


不幸な新人:

いえ、私の事でなんだかすみません。

あの、もう少し聞いてもいいですか?


不幸なわに:

ええもちろん。


不幸な新人:

INTを40にあげてから火魔法を、という事でしたが、INTが低いと魔法が使えなかったりするんですか?


不幸なわに:

はい。基本魔法は20ないと使えませんし、保温魔法は微調整が必要な部類ですから、熟練の域に入る40が必要となります。

そうですね、ステータスの値についてちょっと説明しますと、まずHPが生命値でこれが0になると人は死にます。成人女性で100前後、男性で130前後が一般的です。次にMPですが、これは魔力の量で一般的な成人で10前後、魔法使いの家計で30前後の値が一般的です。STRは力のことで成人女性で20前後、男性で30前後が一般的です。VITは生命力や防御力に影響を与えるもので成人女性で20前後、男性で30前後が一般的です。INTは知力ですが、学力とはまた違って魔法を使う適正を表し一般的な成人で15前後、魔法使いの家計で30前後が一般的です。DEXは器用さを表していて成人女性で30前後、男性で25前後が一般的です。職人などはもちろんこの限りではありませんが。AGIは素早さの事で成人女性で25前後、男性で30前後が一般的です。LUCは幸運値の事で全てのステータスに影響したり、現実的な幸運にも関わってきます。これは男女、子供、大人関係なく、20前後が一般的です。

長くなりましたが、大丈夫でしょうか?


不幸な新人:

はい。基本値が知れて良かったです。

ちなみに、カボチャを馬車に変えたり、ネズミを馬に変えたりするのはどんなスキルでしょう?


不幸なねこ:

カボチャ?


不幸ないぬ:

ねずみ?


不幸なわに:

ちょっと難しいですね……可能なのは、妖精魔法あたりかもしれないですが……


不幸な新人:

あ、じゃあ妖精を呼ぶスキルとかってありますか?


不幸なわに:

妖精ですか? ……可能性があるとすれば召喚魔法でしょうか。

今召喚魔法を取っている人は……ヒトデですか……なかなか来れないですし……


不幸な新人:

あ、いえ、どうしてもというわけではないので大丈夫です。もうちょっと自分でもしっかりスキルを見てみます。


不幸なわに:

無理はなさらないように。我々はいつでもあなたの味方ですからね。


不幸なねこ:

そうよ、どうにもならなくなったら早くいいなさい?


不幸ないぬ:

そうだぞ、今のステータスだって他の


不幸なわに:

いぬ、それ以上は過ぎますよ。まずは現状を落ち着けてからです。


不幸なねこ:

まったくいぬはこれだから。脳筋は困るわ。


不幸ないぬ:

なんだと!?


不幸なたこ:

いぬ。とりあえず落ち着ついて。争ってたら新入りが戸惑うでしょう?


不幸ないぬ:

たこ、どこ行ってたんだ。


不幸なたこ:

少しヒトデのところに。最近入って来れないようでしたので、ちょっと様子を見に行っていました。


不幸なわに:

ヒトデはどうでした? 入って来れそうでしたか?


不幸なたこ:

それがまだまだドタバタしてるみたいで、えびも来てくれましたが、もう少しかかるかと。


不幸なわに:

まぁ仕方がないか。落ち着いたら入ってきてくれるように頼めますか?


不幸なたこ:

はい、新入りが入ったと伝えていますから、そのうち入ってきますよ。


不幸なねこ:

あら嬉しい。ヒトデとは久しぶりになるわね。


不幸ないぬ:

あー俺も自分とこがなけりゃ兄貴のとこに行けるのに!


不幸なねこ:

馬鹿な事いってないであんたはあんたの仕事してなさい。忙しいなら入って来なくて結構よ。


不幸ないぬ:

うっさいわねこ! お前こそ仕事で忙しいんだろ!? 入ってくんな!


不幸なたこ:

という流れももう何度目のパターンか……


不幸なわに:

新入りさん、何度もすみませんね、こんな先輩たちで。

もう遅いですしそろそろ退室してお休みになってください。


不幸な新人:

……いえ、言いたいことを言える相手って素敵だと思いますから。

ありがとうございました。それでは失礼します。

===

不幸ルームを退室しました。

===


 退室を強く念じ、楽しいおしゃべりのような文字の白い世界から薄暗く寒い自分の部屋へと意識が戻る。

 先ほどまでの踊るような文字が楽しくて寒さも忘れていたが、今はもう身を切るような寒さに震えてしまう。

 いそいでステータスを見て、ポイントのところに意識を向けると、ポイントを使用しますか? と文字が浮き上がった。


===

ポイントを使用しますか?

 →ステータスにポイント付与

  スキル取得

===


 ステータスにポイント付与という方に意識を向けると、今度はステータスに矢印が現れたので、INTに意識を向ける。


===

いくつ値を上げますか?

 →1 消費ポイント100

===


 40になるように、29上げるようにして決定を意識する。すると、ふわっと自分の中から何かが吹き抜けていったような感じがした。不思議な感覚だが、今なら丹田に魔力を集められそうな感じがした。


「INTが低かったから魔法がダメだったのか……」


 こんなところで魔法の夢が叶うとは思ってなくて、ちょっと笑いが零れた。

 それからスキルにある火魔法を選択して取得すると、頭の中に火魔法の知識が生まれて驚いた。どうやらINTの値か火魔法の習熟度によって使える魔法の種類が決まるらしく、他の魔法も取るなら全体にかかわるINTをあげた方が効率がいいことが伺えた。もちろん、その上で習熟度もあげれば威力は増すのだが、今はとりあえず保温魔法なので威力重要ではない。

 頭に生まれた知識の通りに魔法を使うと、それまで震えるしかなかった身体が温かさに包まれてほぅっと息が出た。


「あったかい……」


 まるで温泉につかっているようで、うとうとしていると急に寒くなりハッとした。


「そっか、効果を朝まで固定しないとダメなのか」


 今度は維持出来るように固定してみると、うとうとと眠っても寒さで目が覚める事は無かった。

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