第71話 強化

 フグミンのレベルはダンジョン砦に新設した小部屋でオークを一体倒すだけで上がったらしい。

 フグミンのジョブ鑑定をする。


 フグミン フグスライムジェネラル レベル10


       スキル 溶解   極強

           痺れ毒  極強

           極大膨張

           分裂


  アクティブスキル アシッドブレス 大

                   

  テイムモンスタースキル 意思疎通 

              被召喚


「なんか……凄く強そうだな。将軍になってるよ……」


「ナック兄、これで僕もレベル10になったはずだよ。村に戻ったら確認するねー」


「分裂で数が増えるはずだよ。羊娘がうるさいからやってみてくれないかな? 寂しいらしいんだ」


「いいよー でもフグスライムじゃないのが増えるってさ。やってみるね。フグミン、分裂だ!」


 フグミンがどうなるのかジッと観察する。


 …………何も変化がないようだ。


「もう分裂したってさー 隣りにスライムがいるらしいよ」


「あ! いましたよ! 豆粒みたいのが」


 ファリスが指差した先に青く透明な豆粒くらいのスライムがいた。

 鑑定してみる。


 ピュアスライム レベル0 スキル 溶解


「ピュアだって? しかもレベル0だな。試しに誰かにテイムしてもらうか……」


 ビッケと同じ方法を使えばテイム出来るかもしれない。


「フグスライムになれるかは運だけど、大体、何でもなれるってさー」


「面白そうですね。私にやらせてください」


 ファリスがやりたいみたいなので任せる事にした。


「まだ分裂は出来るのかな?」


「このスキルはしばらく使えないってさー」


「そうか……残念だな。名前を与えないとレベル9が限界だけど、何にでもなれるっていうのが気になるな。回復スライムとか出来たら凄いぞ」


「初級魔法なら覚えさせれば1個だけ使えるってさー レベル0の時にしか出来ないみたいだよ」


「ではライトヒールを覚えさせてみます。これでヒーラーが増えれば凄く大きいですね」


 何か自分も欲しくなってきた。状態異常を使うスライムも良さそうだし、属性の攻撃魔法も面白いな。運任せみたいだけどフグスライムでもいい。


「これからフグミンはマスタールームにいれば何処でも召喚出来るってさー」


 それも大きいな。ビッケとフグミンはセットって事か。これにファリスと回復スライムが加われば強力なパーティーだぞ。

 ピュアスライムのレベルが上がるといけないのでファリスに館へスライムを連れて帰ってもらう。魔法を覚えさせて、軟膏に入れておけばいいはずだ。


「ビッケ、特殊部隊にセレスが加わってくれる事になったから訓練を頼むよ。彼女はヒーラーの素質があるんだ」


「僕も戦士と狩人を上げているから丁度いいね」


 自分も装備をしっかりしてナイトっぽい盾役の練習をしよう。自分だけ農民の格好ではさすがにマズイしな。


「ビッケ、久しぶりに一緒に訓練しないかい?」


「え? いいの? もちろんやるよー」


 アルカディア村騎士団用の赤い鎧を借りて装備する。剣は危ないので鞘を使う事にした。盾を左手に装備した。

 

 ビッケと久しぶりに向き合う


 ダンジョン砦の中なので、他の兵士達も見学している。


 ビッケは素手で普通に立っている


 ビッケに小さく頷いた


 ビッケがスッと前に出て右足で蹴りを入れてきた


 ドン!


 何とか盾で防いだが凄い衝撃だ 少し後ろに下がってしまった


 ビッケがクルッと回って足払いを繰り出してきた


 ジャンプして何とか交わしたが……


 ドン!


 回し蹴りを胴に受けてしまった


「グッ……」


 すぐに盾を構えて防御姿勢をとる


 ドン!


 盾に蹴りが当たってまた少し後ろに下げられた


 全く反撃出来ない……防御で精一杯だ


 しかも足しか使っていないぞ


 ずっと防御一辺倒でひたすら蹴りを受け続けた


「ナック兄、これだけ受けれたら凄いと思うよ?」


「いや……ついていくだけで限界だ。昔みたいに練習用の武具を用意しよう。鍛え直さないとみんなの足を引っ張ってしまう」


 いつの間にか周りに人が集まっていた。


「あのー 昔みたいにってこんな事をやっていたんですか?」

「ザッジとビッケの3人でやっていたよ? 君もやってみるかい?」

「ええ? あんなの無理ですよ!」

「いや、ちょっと頼むよ。ビッケと組んで攻撃してくれ」


 久しぶりの2対1だな


 鞘と盾をしっかり構えて防御に徹する


 時折、ビッケの蹴りを受けてしまうが何とか耐えれた。


「んー もう1人入ってくれ。そこの君頼むよ」


 適当に強そうな人に加わってもらった。


 3対1はやった事がないな


 さすがに受けきれずにボコボコと蹴りを受けてしまった


「ちょっと無理か……これくらい何とかなるまでやるかな」


「あのー 何とかなる人っていますか? 普通に無理だと……」


「ビッケは余裕だと思うよ?」


 試しにビッケに防御役を代わってもらったけど、すぐに他の2人が吹っ飛ばされてしまう。


 3対1でも全く相手にならない


「うーん……君達も少し鍛えた方がいいな。しばらく一緒にやろうか。ダンジョン砦で対人戦の訓練をしよう」


 アルカディア式の訓練をする事にした


 周りの人達はみんな顔色が悪かった

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