第43話、棘期剣
「ミャオウよ。必殺技とはどういうものか、余が手本を見せてやろう。出でよ四十七剣! 今宵選ばれし剣は、棘だらけなバラガキの貴様にうってつけの剣だ!」
詠唱によって生じた暗黒空間に『棘』という言霊が吸い込まれる。
闇から生まれ掌に収まった武器は、天に向かって遠吠えする犬のような武骨な形の物体。剣というよりハンマーに近い四十七剣は、その名の宣言と共に振り下ろされた。
「
「茨城県は日本の関東地方に位置する県。いばらぎと誤読されがちであり、県庁所在地は水戸市。人口は全国11位と政令指定都市を持たない県の中では最大であり、茨城県全体の3分の1以上を占めている霞ヶ浦は国内第2位の面積を持つ湖。観光地ではサメの飼育種類が日本一のアクアワールド茨城大洗水族館や、ブロンズの立像としては世界最大でギネスブックにも登録されている120mの牛久大仏が有名。特産品はメロン、ピーマン、白菜、ちんげんさい、たまごと、1889年より製造が始まっていた水戸納豆の生産量が全国1位。県の木はウメ。県の花はバラ。県の鳥はヒバリいいいいい…………?」
普段は平仮名口調のミャオウが饒舌な悲鳴を上げる。
しかし消滅するようなことはなく、攻撃を受けた本人も不思議そうな顔を浮かべていた。
「……いきてる?」
「名産品は納豆だと言ったであろう」
「……どういうこと?」
「よく見るがよい。余は棘期剣を抜刀せず、納刀したままだ」
「……のうとう? そんなことできるの?」
「覚えておけミャオウよ。我らが刀剣は未知の産物。ただ与えられた力を使うだけではなく、操ってこそ真の力を発揮できる。先程貴様が見せた進化はその一種に過ぎぬ」
「……しんか、マオウもできる?」
「当然だ。専売特許かと思ったか?」
「……そんなにつよいのに、シリアスにまけた?」
「だからこそ次は負けぬよう、日々研鑽を続けておるのだ」
「……ヨもつよくなる! つよくなってコマまもる!」
「うむ。わかればよい」
決意を固めたミャオウは、意気揚々と走り出す。
そして急に立ち止まった後で、くるりと振り返りペコリと頭を下げた。
「……マオウ、ありがとう!」
敬語ではない辺りは相変わらずだが、これで少しは四天王らしくなりそうだな。
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