第37話、田形剣
「さては其方」
「最近冥府を荒らしているという」
「生者だ」
「「「な?」」」
今日も夢から冥府へと誘われていた余の前に現れたのは、三人の男達だった。
「我が名はウノ!」
「我が名はドス!」
「我が名はトレス!」
「「「我ら、冥府のクアトロ兄弟」」」
「我らが来たからには」
「貴様の好き勝手には」
「させ」
「「「ぬ!」」」
また随分と濃いのが出てきたが、コイツらも死神から狩るように言われた怪物だ。
「…………三人しかいないのにクアトロとはどういうことだ?」
「四人目は最近」
「反抗期により」
「今は家にい」
「「「る!」」」
仮に四人目の台詞担当部分が全員で言っている箇所だとしたら、そりゃ反抗期の一つになってもおかしくはないだろう。
とりあえず肩慣らしに一発、いくとするか。
「出でよ四十七剣! 今宵選ばれし剣は、受けた者の原形すら残さぬ剣だ!」
詠唱によって生じた暗黒空間に『形』という言霊が吸い込まれる。
闇から生まれ掌に収まった武器は、口を開けた人の横顔のような武骨な形の物体。剣というより鈍器に近い四十七剣は、その名の宣言と共に振り下ろされた。
「
「山形県は日本の東北地方に位置する県。県庁所在地は山形市。果樹王国として全国的に有名で、主な生産品であるさくらんぼは全国生産量の7割を占める。またコンニャクの消費量が全国1位であり、郷土の食材としてコンニャクを丸型に加工した玉こんにゃくがある。松尾芭蕉は「奥の細道」の全行程156日のほぼ三分の一にあたる43日間を山形県で過ごした。県の木はサクランボ。県の花はベニバナ。県の鳥はオシドリ。県の魚はサクラマス。県の獣はカモシカ。県民の歌は最上川あああああ!」
一人で喋るには長い断末魔を叫びながら、二人を守った長男の身体は消滅する。
静かになった紫色をした空の下で、余は大きく息を吐いた後で呟くのだった。
「さあ、次はどっちだ?」
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