第29話、縷縷

「――――出でよ! 我に従いし新たな下僕よ!」


「…………る? 毒の魔物を呼び出したつもりだった筈が、これはまた奇妙な出で立ちの奴が出てきたるる。お前は一体何者……と、喋らなくていいるる」


「この魔王代理、ルルルールル・ルルルルルヴィッチことルルに掛かれば事態の掌握など容易いこと。どうやら魔法陣が混線していたのが原因るるね」


「毒の魔物を呼び出すつもりが、魔が抜けて毒者が来たなんてお笑いるる。戦闘の役には立たなそうだし、魔法力が回復したら元の場所に戻するる」


「魔王殿の行方がわからなくなって早二週間。小間は魔王城をしっかり再建したと言うのに、魔王代理であるルルがこんな失敗をしてる暇はないるる」


「それにしても最近は良い触媒がないるる。こんな調子じゃ四天王を超えるレベルの魔物を生み出すなんて、夢のまた夢のような話るるね」


「そう考えると魔王殿の遺伝子をブレンドして生み出したミャオウの奴は、我ながら最高傑作だったるる。唯一の問題点は魔王殿の究極奥義かつ正体不明の四十七剣まで真似ようとして、変な剣を生成するようになってしまったことくらいるる」


「もう少し容姿が似て技もまともなら魔王殿の影武者として活躍もできたろうに、我ながらまだまだ技術不足るる。もう二度と反逆のシリアスのような魔王史を残さぬためにも、結界も魔物もより一層強化するためには……ん? お前、まだいたるるか?」


「ああ、喋らなくていいるる。この魔王城の陰の支配者、ルルルールル・ルルルルルヴィッチことルルの魔法力が回復したら戻す予定だったるるね。すっかり忘れてたるる」


「それじゃあ、ちょっと表に出るるる」


「そこに立って、ジッとしてるるる」


「何をしてると言われても、見ての通り一本足打法の素振りるる」


「よし、いくるるよ?」


「呻れ我が魔界棒! うっかり呼び出されしこの者の肉体を、世界の果てまで誘うべし! ダイレクトスカイフルスイングスマアアアアアッシュ!」

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