第20話、死の四魔剣①
「やい魔王! お前の悪事もここまでだ!」
「ちょっと~? 堂々と大見え切りながらアタシの陰に隠れないでくれます~?」
「こ、ここ、怖いものは怖いんだから仕方ないだろっ?」
また随分と珍妙な二人組が魔王城へとやってきた。勇者や騎士といったこれまでの屈強な者共とは違って、ひょろひょろした青年が一人と高飛車な女が一人の二人組だ。
問題なのはこの二人が、どこからともなく突然現れたこと。城内には四天王であるヒルやスイーツは勿論、山のようにいる部下の全てを回避して玉座の間へとワープしてきた。
「…………悪いことは言わぬ。余の機嫌が良いうちに帰るがいい」
「そうはいかないわよ! こっちはアンタを倒してがっぽり懸賞金を手に入れて豪邸生活が……じゃなかった。もとの平穏な女神生活が待ってるんだから!」
「女神?」
「そうよ。アタシは女神イフリータ。可憐にして美しき炎の神!」
「実際はただの駄女神だけどな」
「うっさい! さあ魔王、覚悟しなさい! アンタの四十七剣なんて、コイツにかかればただのダサくてしょぼくて技でも何でもない行政区画の一つなんだから!」
「お、おいっ? 本当に大丈夫なのかっ?」
「どこで聞いたか知らぬが、余の奥義を知っているだけでなく侮辱までするとはな。貴様らには死すら生温い! 四十七剣の秘剣、九大魔剣で絶望を味わうがいい! 今宵選ばれし剣は、貴様らを苦痛と死へ誘う魔剣だ!」
詠唱によって生じた暗黒空間に『苦』『死』という言霊が吸い込まれる。
闇から生まれ掌に収まった武器は、さつまいものような武骨な形の物体。剣というより鈍器に近い四十七剣は、その名の宣言と共に振り下ろされた。
「
「アブソーブ!」
「なっ?」
ひょろひょろした青年が手をかざすと、一撃必殺である四十七剣の斬撃が消える。
それどころか、握り締めていた吐苦死魔剣までもが消滅していた。
「徳島県は日本の四国地方に位置する県。県庁所在地は徳島市。日本で唯一電車が走っていない県であり、代わりに汽車もといディーゼル車が運行している。400年の歴史を持つ阿波踊りや鳴門の渦潮などが有名。県の木はヤマモモ。県の花はすだちの花。県の鳥はシラサギ……へー、そうなのか」
「…………貴様、何者だ?」
「流石の魔王も驚いているようね! アタシがコイツに与えたチート能力は、技のコピーと九州……じゃなくて吸収ができるの! アンタなんかギッタンギッタンのけちょんけちょんにしてあげるわ!」
「ということで、コイツは返すぜ魔王! トレース!
調子に乗り出した青年は、コピーした四十七剣を生み出した。
すかさず余も暗黒空間より新たな剣を手に取る。横に寝かせたうさぎのような武骨な形の四十七剣を、その名の宣言と共に振り下ろした。
「
四十七剣……それも九大魔剣同士が激しくぶつかり合う。
威力は拮抗しており、二つの斬撃は共に消滅した。
「今の福島県は日本の東北地方に位置する県。県庁所在地は福島市。全国三位の面積を持ち、県内は南北方向に延びる山脈・山地によって地形・気候・交通・歴史などの面に違いが顕れており、会津・中通り・浜通りの3地域に分けられている。県の木はケヤキ。県の花はネモトシャクナゲ。県の鳥はキビタキってな」
(こやつ、見ただけでっ!?)
転生者……いつか現れるとは思っていたが、過去最高に厄介な相手となりそうだ……。
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