第18話、相殺

「質問なのですが、スイーツ嬢はどのようにして我が主に忠誠を誓ったのでありますか?」

「アタシ? アタシはヨミちゃん経由だよ~」

「ヨミ……と申しますと、あの死神の方でありますか?」

「そ~そ~。アタシってば元々南国でひっそり暮らしてたんだけど、魔族ってだけで国の守備隊とかが毎日のように追いかけてきてさ~。そんな時にヨミちゃんと出会ったんだ~」











「お前デスか。面白い技を使う魔族っていうのは」

「っ? 死神っ?」

「そんなに警戒せずとも、ヨミはただ――――」


「トゥーゴーパーソナルリストレットベンティツーパーセントアドエクストラソイエクストラチョコレートエクストラホワイトモカエクストラバニラエクストラキャラメルエクストラヘーゼルナッツエクストラクラシックエクストラチャイエクストラチョコレートソースエクストラキャラメルソースエクストラパウダーエクストラチョコレートチップエクストラローストエクストラアイスエクストラホイップエクストラトッピングダークモカチップクリームフラペチーノ!」


相殺あいさつ!」


「嘘っ? アタシの最強のカロリーマジックが……」

「少しは死神の話を聞けデス。ヨミはただ勧誘に来ただけデス。何も悪いことをしてないのに、毎日のように追い回されて疲れないデスか?」

「そりゃまあ、そうだけど……勧誘?」

「お前と同じ立場の奴を知ってるデス。少し場所は遠いデスが、今なら特別サービスでヨミがその安住の地まで連れてってやるデス」

「ちょい待ち! 何で今日会ったばっかりの見ず知らずの死神が、アタシにそんなサービスしてくれるの? 絶対に何か裏があるやつでしょ! 安住の地とか言っておきながら、あの世に連れていくつもりでしょっ?」

「いちいち五月蠅い奴デスね。あの世に行きたいなら、今すぐにでも――――」


「すいませんでしたごめんなさいっ!」


「こっちはお前が人間をお菓子に変えるせいで、魂を回収できなくなって迷惑してるデス。ぶっちゃけ始末しても済む話のところを、わざわざ勧誘しに来てやったんデス」

「そ、そりゃどうも……でもでも、元はと言えば全然アタシの話を聞いてくれない守備隊の奴らが悪いっしょ! 正当防衛なら仕方なくない?」

「ヨミの見た目だけで判断して話も聞かず、いきなり攻撃を仕掛けてきたお前も同罪デス」

「あ………………その、ごめん」

「聞きたいのは謝罪より答えデス。どうするデスか?」

「う~ん……まあ迷惑掛けてるみたいだし、そういうことなら引っ越しも悪くないかな~。ヨミちゃんも悪い死神じゃなさそうだから、ここはいっちょ案内よろしく~」











「ってことがあって、オーちゃんの元で働くことになったって訳」

「まさかヨミ嬢を経由して我が主から直々の勧誘とは……おみそれいたしました!」

「ん~、まあ勧誘って言うより保護って感じな気もするけどね~。オーちゃんって他国の制圧でも一般市民には手を出さずに、偉い奴だけ狙えって命令するくらい優しいじゃん?」

「我が主の器の広さは世界一であります!」

「そういえばオーちゃんって、何で魔王やってんだろ? ちょっとアタシ聞いてくるね~」

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