第14話、聖剣
「魔王様。飛空艇が来たとの報告がございます」
「飛空艇? そんな物を作る技術があるのは南国くらいだが……」
戻ってきてから休憩と言いつつ、毎日ゴロゴロしてばかりのスイーツをチラリと見る。
コマの淹れた紅茶と一緒にケーキを食べていたツインドリルの少女は、目が合うなりフォークを咥えたまま首を横に振った。
「ひやひや、ひらないひらない」
「こちらが映像になります」
目玉コウモリの眼球が水晶玉のように光り出す。
飛空艇から降り立ったのは、金色の甲冑に身を包んだ騎士が一人だけ。しかしその佇まいを見るだけでも以前の騎士達とはレベルが違い、只者ではないことは一目瞭然だった。
「ふもっ? ごっくん! こいつってば花の騎士、アーサー・オダルクじゃん!」
「アーサー・オダルク…………伝説の聖剣ラグナカリバーを引き抜いた、南国だけでなく世界最強と謳われている剣豪か。あの大船団は囮だったようだな」
「如何致しますか?」
「奴には決して手を出さず、城内に入った後で飛空艇の中に残っている者を捕えるように伝えよ。スイーツは入口から玉座の間へ直通のゲートを作っておけ」
「はいは~い」
「魔王」
「アーサー・オダルクよ、よくぞここまで来たな。余は待っておった。貴様のような強者が現れるのを。だが命を粗末にするな。貴様にも家族がいるであろう」
「
「大人しく引き返すつもりはない……ということか。残念だな」
聖剣を構えていた世界最強の剣豪は、挨拶代わりとばかりに斬撃を放つ。
「
「これだけの力……身につけるには、さぞ苦労したことだろう」
「
「余に刃向かう愚か者め。貴様が聖剣を操るならば、余の聖剣も見せてやろう」
「
「出でよ四十七剣! 今宵選ばれし剣は、性懲りもない貴様ら南国への手向けだ」
詠唱によって生じた暗黒空間に『性』という言霊が吸い込まれる。
闇から生まれ掌に収まった武器は、鶏のような武骨な形の物体。剣というよりハンマーに近い四十七剣は、その名の宣言と共に振り下ろされた。
「
「
二つの聖剣から放たれた奥義が激しくぶつかり合う。
技の威力は五分五分。勝敗を決めたのは、聖剣そのものの強さだった。
「佐賀県は日本の九州地方に位置する県。県庁所在地は佐賀市。人口・面積共に九州7県の中では最も少ないが、人口密度は九州でも3番目に高い。唐津・伊万里・有田などは古くから陶磁器の産地として有名で、半ば自虐的に語っているコミックソングはオリコン週間シングルチャートで最高5位を記録。県の木はクスノキ。県の花はクスの花。県の鳥はカササギもとい、佐賀県での呼び方は「カチカチ」という鳴声からカチガラスともおおおおお!」
花言葉ならぬ佐賀言葉を叫びながら、アーサー・オダルクは聖剣と共に華々しく散る。
静寂に包まれた城の中で、余は粉々に砕け散ったラグナカリバーを眺めつつ呟くのだった。
「…………暗黒剣、ナグラカリバーとかにして復元できぬだろうか……」
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