第8話、ニルヴァーナ・ライコウブレード
「フ……フフ……ファッファッファ!」
報告があった侵入者を玉座の間にて待ちながら、思わず口から笑いがこみ上げる。
ニルヴァーナ……それは繰り返される輪廻からの解放。
雷光の如き速度で繰り出す余の新技こそ、ニルヴァーナ・ライコウブレード。あえてライコウとカタカナで書くところとか、ヴァという響き辺りがもう強そうでしかない。
しかも突発的に放って失敗した前回とは異なり、今回はちゃんと事前練習済み。威力のある技を生み出すには随分と時間が掛かったが、これでようやく四十七剣から卒業という訳だ。
「魔王! 覚悟しろ!」
「よくぞここまで来たな。余は貴様が来るのを待っておった。あまりにも遅すぎて待ちくたびれたぞ。冥土の土産に見せてやろう。余の究極奥義をな!」
早々に前口上を済ませた後で、高々と右手を掲げる。
そして闇から生まれ掌に収まった武器を、技名と共に振り下ろした。
「ニルヴァーナ・ライコウブレード!」
完璧だ。
前回のような変なルビもついていない。
ついに余は、四十七剣以外の新たな技を手に入れたのだ。
「奈良県は日本の近畿地方に位置する県。県庁所在地及び最大の都市は奈良市。海岸線を持たない内陸八県のうち面積は最も狭く、可住地面積は全国最下位であり人口の九割以上は北西部の奈良盆地に集中している。約二万五千年前に人々が生活をしていた旧石器の遺物が出土しており、国宝に指定された彫刻、建造物、史跡名勝天然記念物は日本一。県の木はスギ。県の花はナラヤエザクラ。県の鳥はコマドリいいいいい!」
「なっ? 馬鹿なっ!」
いつもの断末魔を耳にするなり、慌てて手にしていた武器を確認する。
そこにあったのは長い時間を掛けて作ったニルヴァーナ・ライコウブレードとは全く異なる、ペンギンのような武骨な形の物体。剣というより鈍器に近い、見慣れた四十七剣だった。
「何故だっ? 何故、
ニルヴァーナ・ライコウブレード。
ニルヴァーナライコウブレード。
「まさか……奴の名は、ニルヴァーだったのかっ?」
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