第137話 悲願

 リヴァイアサンを倒すと石碑前に階段が現れた。


「毎回これをやるのか、今回だけなのかが問題ね」


「次の層はドラゴンより強い敵がいるよね……」


 とりあえず階段を下に降りていく。なんだか熱いな……


「これは……」


 全て砂……見渡す限りの砂だ。


「砂漠ね……」


 防雨防寒装備を外した。


「索敵する必要も無いわね。見えているわ」


 馬鹿デカイ巨人がノシノシ歩いているのが見える。


「ギガアトラスね」


「他にも索敵反応があります。見えませんが」


「厄介ね……ミミズ系かしら」


 砂の中に隠れているみたいだね。


「砂漠の敵を調べて対策を立てましょう。退却よ」


 敵を知らないのは危険だからね。砂漠なんてエストアール王国には無いから初めて見たよ。


 第2層に戻るとすっかり雨は止んでいた。でも空は暗いままだった。氷は溶けて無くなっていた。


「でも雲がないような……」


「夜になったようね。少し周りを確認しましょう」


 全員で索敵、警戒していると……


「ゾンビ化したドラゴンがいます!」


 普通のドラゴンもいるけどドラゴンゾンビが多い。


「何かあるのかしら……ドラゴンゾンビだけ倒しましょう」


 移動してドラゴンゾンビと戦う。


「ライティング!!」

 

 栞さんが暗闇を照らす魔法を使ってくれた。かなり明るいからこれなら戦えるね。


 ドラゴンゾンビはかなりの強敵だ。


 暗くて戦いにくいしね。


「普通のドラゴンより強い! 剣が効かないぞ!」


 腐った肉を切ってもダメージは少ない。ザリウスにドラゴンメイスを渡した!


「使って!」


 ザリウスがドラゴンメイスでバキバキと骨を砕いていく。


「コレいいな!」


「貸すだけだよ」


 ドラゴンゾンビを倒すと高確率で宝箱が出現する。Bランクの宝箱をクルミが簡単そうに開けていく。中身は大きな宝石ばかりだ。


 ドラゴンゾンビだけ狙って倒していく。


 クルミが嬉しいそうに宝箱を開けていく。


「これウハウハですね」


 見るからに価値の高そうな宝石だからね。


「何だか空が明るくなっていないかな?」


 どうもドラゴンゾンビを倒すと明るくなるみたいだ。


「ドラゴンゾンビはリポップしないみたいね」


「じゃあ全部倒しちゃおう!」


 バキバキと倒していくとドラゴンゾンビは全滅した。


 すると……


 明るくなった空に白い月が浮かんでいる……


「まさか新月? 今日は違ったはず」


 普通のドラゴンを避けて索敵していく。


「ガルゥゥーーーー!」


 スノウが前に出て森に向かって唸り声を上げている。


「スノウ? どうしたの? 何も居ないわよ?」


 フェンがスノウに問いかけてもスノウは戦闘態勢を崩さない……


 何も見えない……でも微かにガサガサ音がする。


「何かが近づいて来ているの?」


「栞さんを中心に円陣を組もう!」


 僕達は小さな輪になって全方位に警戒する。


 ガサガサ音は複数あり僕達を取り囲もうとしている。


「索敵反応無しです……」


「でも居るわ……殺気を感じる」


 風は無いのに草むらが揺れている。何かがこちらに来る。

大きくは無い。


 一気に加速して全方位から距離を縮めてきた!


「聖域!!」


 栞さんが聖域を発動した!


 バチ!バチ!バチ!と次々に壁に激突して弾かれていく。

 そしてその正体が分かった。


「小竜……ステルススキルを持っているようね」


「衝撃を受けるとスキルが消えるのか……」


 諦めずに何度も襲いかかってくるけど、栞さんの聖域を破る事は出来ない。


「全部見える様になったわ。戦闘力は低そうね」


「一気に殲滅しよう。陣形は崩さない様に!」


「「 了解 !! 」


「スキル解除します!」


 聖域が消えて小竜が飛び掛かってくるのを叩き落とす!


「数が多い! 噛まれたぞ」


 ミンフィー以外はみんな足や手を噛まれている。


「アークエクスキュア!」


 栞さんが範囲回復魔法を唱えてくれた。小竜を剥ぎ取り地面に叩きつけて潰していく。

 徐々に数が減ってきたけど敵は引く気は無いみたいだ。

 最後の1体をスノウが食いちぎった!


 ポトン……


 光輝く小さな宝箱が地面に落ちた。


「光っているわ……栞さん鑑定を」


「はい!」



 新月の宝箱  トラップ有  Bランク


「クルミ、慎重に開けて」


「はい!」


 カチッ!


 知らない間に太陽が僕達の真上にあった。


 太陽は命を育ててくれると言う。



 世界樹の苗木



 小さな苗木がその宝箱には入っていた。


 ザリウスは太陽をひたすら見上げている様だけど目は開かれていない。


 スッと涙がその頬を流れ落ちた……

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