第134話 静かな時間
〜 ギルド レザムールズ ハウス ロビー 〜
ニャンタとスノウの装備が出来上がった。スノウのは完璧なんだけど、ニャンタのは納得の仕上がりではない。
ドラゴン猫アーマー プロトタイプ
ドラゴンビーストアーマー
それぞれをティアナとフェンに手渡したよ。
ドラゴン猫アーマーは本人の希望で全身が金色!
超かっこいいね!
スノウのはシンプルな白だよ。どちらも他のシリーズと同じ色と装飾を施し販売する予定だ。ニャンタとスノウの物は特別色だね。
「ニャンタのはまだ完成じゃないけど性能は十分だよ」
シャバニさんの作ったニャンタ用のフルプレートアーマーを素材に合わせて直しただけなんだよね。
自分なりの何かを加えないと単なるモノマネだ。今のところアイデアが無いんだよね。
「ニャー!!」
早速、ニャンタがドラゴン猫アーマーを装備した。
金色の小さな鎧が歩いているよ。
「かなり目立ちますね……やっぱりこの色は……」
ティアナは引き気味だけどニャンタは嬉しそうだよ。
「ドラゴンウィップは売れているの?」
ポラリスカンパニーと一緒に開発に携わったフェンが尋ねてきた。
「アンテナショップの方で売れているよ。テイマー用の武器は少ないからね。評判を聞いたテイマーが各地から買い求めに来るそうだよ。同じ理由で爪も売れているよ」
「ドラゴンシリーズは好調の様ね」
「うん。いい感じに売れ出したよ」
1番人気は両手斧のドラゴンアックス。レザムールズ領の戦士はこれを使うのが当たり前になりつつある。
2番人気は女騎士専用セット。生産が間に合わないので2番人気だけど実際には1番人気かもしれない。
売れているのはアンテナショップの方だけだ。
3番人気はドラゴンシューズ。じわじわと売り上げを伸ばしている。攻防一体の靴としてアタッカーに好まれている。
そしてダントツの最下位がドラゴンメガハンマーとドラゴンメイスだ。まだ売れない。
対ゴーレム戦とかに使えそうなんだけど、用途が限定的すぎて見向きもされない。
自分で買おうかなと思ったけど
虚しいのでやめた……
総合店とアンテナショップでは売れる物が違うのは面白いね。総合店はレザムールズ領内の冒険者しか買わない。それに対して聖都 セントフォースのアンテナショップは各地から冒険者が買いに来る。
「ドラゴンウィップは使ってて面白いわよ。でも、私には仔猫のウィップがあるわ」
「昔とはかなり形が変わってきたよね」
「ええ。モッシュの小僧のミョルニルと同じね。成長し続けているわ。まだまだ伸びると思う」
仔猫のウィップは伸縮自在らしく、その射程は成長と共に長くなっているそうだ。攻撃により幻惑等の状態異常を付与する事もあるんだってさ。
僕のミョルニルはドラゴンメイスと同じ大きさだ。見た目もただのトンカチから変わってきて、変な模様が浮かび上がってきた。気合いを入れてぶっ叩くと強い雷撃を放つ事がある。雷撃による感電で敵が痺れて麻痺状態になる事も多いね。
「この武器はSランクになっても使いそうだわ」
「そう考えると凄いよね」
「今の威力はドラゴンウィップの方が上なの。でもこの武器は変えられない」
「分かるよ。僕もドラゴンメイスの方が強いと思うからね」
愛着とかじゃなくて感じるんだ。ミョルニルがまだまだ伸びるという事をね。
〜 小都市 シャングリラ 居住区 〜
全く緑地の無かった居住区に豊かな緑の公園が出来た。そこに多くの人々が訪れ、のんびりと休憩している。
紅茶専門店に買い物に行くと珍しい茶葉が置いてあった。自分がオーナーだけどお金をちゃんと払ってそれを買った。
売り上げは良くも悪くもない。運営はポラリスカンパニーがやってくれている。
ランチタイムが終わる時間を見計らってカフェに行く。都会的でお洒落な内装は辺境地に居る事を忘れさせる。
メニューは少しだけ増えた様だ。でも多くは無い。
本日のオススメケーキセットを注文した。
あれこれ迷うくらいメニューがあるのも面白いけど、自信を持って勧められる限られたメニューの方が好きだ。
この店のオーナーも自分だけど口を出した事は無い。運営はポラリスカンパニーだ。
温かい紅茶とイチゴのショートケーキがきた。ちょうど畑ではイチゴが収穫を迎えている。
店内にはそんなに客は居ない。とても緩やかに時間が流れているような錯覚を起こす。
店員の動きもいい。店の雰囲気に馴染んでいる。
この店は儲かっているらしい。ランチタイムには行列が出来るそうだ。レザムールズサーモンと野菜のサンドイッチが大人気みたい。アレは美味しかった。
利益は公園の整備に回しているそうだ。
大きな花畑を園芸ギルドの人達が熱心に手入れしている。
「これだけの事をサラッとやる荷物持ちさんは何をしているのかしら……」
良く晴れた昼下がりに紅茶の香りが心地良かった。
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