第128話 銀世界

 〜 レザムールズ領 郊外 〜


 通常テイムモンスターには報酬が渡される事は無いのだが、知性の高いスノウには特別に渡す事になった。

 スノウはホクトに山を選定してもらい、そこを棲家とするそうだ。

 

 スノウ所有となったその山は深い森のそのまた奥、とても険しい山でとても人が近づける様な場所では無かった。


 フェンと冒険する時以外は東砦か南砦に居たスノウだったがこれからは自由に動くそうだ。

 

 でもフェンのスケジュールに合わせてギルドハウスに帰ってくる。


 領地の大半が深い森のレザムールズ領をスノウが自由に駆け回り、危険なモンスターを次々に倒していく。

 

 領内最高レベルのモンスターが巣食う山を制圧するまでそんなに時間はかからないだろう。



 〜 レザムールズ領 〜


 都市の人口は緩やかに増加していた。建設ラッシュも落ち着きを見せ始めている。

 

 ギルド レザムールズ は古代迷宮探索を再開した。


 フェンはドラゴンの皮を用いたドラゴンウィップを使用していた。ミンフィーはドラゴンの爪を用いたドラゴンクローを使っている。

 防具もドラゴン素材を多く使った装備だ。特にミンフィーのドラゴンブーツは攻撃、防御の両面から良いらしい。


「これで試作段階なら完成したら恐ろしいな」


 ザリウスはその威力を見て驚いている。


「後衛用のドラゴンの杖も作っているから楽しみにしておいて」


「Cランクの冒険者と契約したんだったな。俺も知っている人だが才能のある人だ。きっと良い物になるな」


 そろそろBランクに上がりそうだと聞いている。


「最初に来てくれた3ギルドはBクラスになりそうだね」


「ああ。ミシェルが熱心に指導しているから間違い無いな」


 ミシェルさんには昇格試験対策をバッチリ伝えてあるからね! 僕達は情報無しで挑んだけど後続のギルドまで大変な思いをする事はない。どんどん強くなってくれればいい。


「Bクラスになったら優良ギルドに指定してこの古代迷宮探索に加わってもらうわ」


 優良ギルドは更に強化指定ギルドになるんだって。特別な援助として良い装備が貰えるそうだ。税の軽減もあるよ!



 グリーンドラゴンを楽に倒せる様になってきた。少しずつ第2層奥へと拠点を移動していく。

 

「レッドドラゴンがいます。他にブルードラゴンも!」


「ドラゴンの階層みたいね」


 予測はしていたけど強敵ぞろいだね。レッドドラゴンから倒すよ! 僕はリュックサックからドラゴンアイスシールドを取り出し装備した。氷属性を高めたレッドドラゴン対策の盾だね。


「ニャー」


 ニャンタが魔剣から魔猫に戻った。

 

 そして集中を高めている!!


「フシャーーー!」


 ニャンタが青白い魔剣になった! 辺りに冷気が漂う!!


「こ、これは?」


「ニャンタの新形態! アイスクレイモアです!」


 ティアナが氷の魔剣になったニャンタを構えた!


「かなり訓練したみたいね。くるわ!!」


 クルミがレッドドラゴンを連れてきた。噂通り、かなり周辺の温度が上がってきた。炎を撒き散らしながらこちらに走ってくる。


「アイスベール!」


 栞さんが氷の防御魔法をみんなに唱えてくれる。


「よし! 特徴は分かっているんだ! しっかりやろう!」


 グリーンドラゴンより更に強力な灼熱の広範囲ブレスを連発するのが特徴だ。

 

 レッドドラゴンはいきなりブレスの構えだ!


 僕は盾を前に出して突撃する! 爆炎が僕を包み込んだけど怯まずに突き進んでぶっ叩いた!! 激しい雷撃がレッドドラゴンに炸裂したがビクともしない。


「キュア!!」


 栞さんがカウンターヒールで軽い火傷ごと回復してくれたからなんとも無い!


 レッドドラゴンの注意は僕に向いている!


 ミンフィーとティアナが定位置についた。フェン、スノウとクルミも中間レンジにつく。

 再度、僕が攻撃を仕掛けるとみんなが一斉に動き出す!


 ミンフィーがローキックから連撃を放ち、ティアナは鋭く氷の斬撃を当てる。フェン、スノウ、クルミは隙を突いて急所攻撃を加えた。

 レッドドラゴンは半身をミンフィーにズタボロにされ、もう半身はティアナ、ニャンタに氷漬けにされ、更に首や関節をフェン、スノウ、クルミに痛撃された。

 

 レッドドラゴンは魔石になった……


「圧倒的だな……弱体魔法を数個しか入れる間が無い。すまないが俺も前衛に入るぞ」


 そう言ってザリウスが装備を変更し始めた。


「鍛治ギルドに来て下さったダークエルフ族、随一の技術者Sランク鍛治師シュナイダー氏から授かったダークシリーズだ」


 全身真っ黒のフルプレートアーマー、長剣と大盾。豪華な金色の装飾が施されたダークメタル装備だ。


「ダークナイトとして攻撃に加わる。モッシュのサブ盾役とでも思ってくれ」


 僕の左側でティアナをフォロー出来る位置についた。


「では、私も攻撃参加しますね」


 アイリスまで攻撃参加するみたいだね。背負っていた長弓で遠隔射撃する。


「最近、骨の矢の威力が凄いって噂ですよ。フフフ」


 こそっとドラゴンの骨の矢に変えたんだけどバレてるね。

価格はそのままで骨の矢として売っているよ!


 後衛は栞さん1人の乱獲モードでレッドドラゴンを狩りまくりだ! どんどん加速して狩っていくと……


「もう居ませ〜ん」


 クルミが戻ってきた。僕は盾をドラゴンファイアシールド変更した。火属性を高めた盾だね。そして……


「ニャー」


 ニャンタが魔猫に戻って……


 …………


 ズドン…………


 激しく炎が吹き出る巨大な魔剣になって地面に突き刺さった!


「ニャンタ……持てないわ……」


 ティアナが呆れている。


「名剣と言われるエクスファイアソードです……どうしてもイメージがこれになってしまう様です」


「やっぱり脳筋ね……」


「ニャーゴ……」


 結局、ニャンタはノーマルの魔剣になった。


 とりあえずブルードラゴンを1体倒して様子を見てから、再び乱獲モードに突入した。レッドドラゴンにと比べると若干ペースは落ちたけど高速なのは変わりない。

 でも、ブルードラゴンの氷のブレスのせいで辺り一面が氷の銀世界になってしまった。


「これは寒いね……熱いのはまだいいけど……」


「体の動きも硬くなるし危険ね……奥を確認して撤退よ」


 奥に進むとイエロードラゴンとブラウンドラゴンがいた。

 

 みんな寒いのは苦手みたい防寒着を用意しないとね!

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