第121話 交流

 〜 レザムールズ領 〜


 無事にダークエルフ族を迎え入れた。レザムールズ領は広く人材を募集している事が知られ、移住希望者も少しずつ増えつつあった。


 僕は得意の骨細工で矢尻を作る仕事をしている。グリーンドラゴンの巨大な骨から作っているよ。


「モッシュさんは骨細工師のBランク相当ですね」


「そうなんですか?」


 国が認めた生産ギルドで試験を受ければランクを認定してくれる。ここには骨細工ギルドは無いのであくまで相当って扱いなんだ。


 ホクトさんは彫金で新製品の宝箱を作っていた。人気商品なんだけどホクトさんにしか作れないんだよね。


「ドラゴンの骨は硬くて加工が難しいですからね」


「骨や彫金のギルドは作らないのかな……」


「王都や大都市にはありますね。特産品によっては小都市にも様々なギルドがありますよ。漁師ギルドとかですね」


「うーん……マイナーなギルドを集めて交流する場所でも作ろうかな」


 ホクトさんと共同で僕の店の裏に交流施設を建設にした。


 生産者交流施設 『 サロン 』 と名付けた。


 作業スペースもあるよ! 出来上がった物は僕の店で委託販売が可能だよ。


 この交流施設は意外に好評だった。生産ギルドから仕事の依頼が来る事もあった。

 領内に店が少ないので手に入らない物が結構あった様だ。

 ドラゴンの骨でいろんな物を作って欲しいと依頼された。


 ドラゴンの骨は素材として優秀だった!


 いろんな物に挑戦する事で技術も上がった気がする。


 他の職人から刺激を受ける事も多いよ!



 〜 古代迷宮 〜


 古代迷宮の入口に関所が設けられた。ここには1部の限られた者しか出入りが許されない事としたんだ。

 更に第2層の入口に扉が設置された。ここから先はギルド レザムールズしか入れない様にしたんだ。

 あの葉っぱをゲットした日から乱獲は続いていたけど結局あの『ピュアトレント』は出現していない。

 

 新月の日が来た。


 今日全員で徹底的に乱獲する!!


 そしてお昼過ぎに『ピュアトレント』が現れた! みんなで戦えばすぐに倒せる。


 宝箱をクルミが開けた!!


 木で出来た笛が入っている……


 栞さんが鑑定をした。



 精霊の笛  



「単なる楽器みたいですね」


 世界樹の葉ではなくてみんなガッカリだよ……


 笛はアイリスにあげたよ。一応、ダークエルフ族にも見てもらう事にしたけどね。


「ホクトさんの読み通り、月齢が関係している可能性が高いわね。新月の日は閉鎖してウチだけで探索ね」


 ピュアトレントの出現条件さえ分かれば第1層は開放してもいい。


「もう2回位は試したいわ」


「とりあえず今日はこのまま乱獲しようよ。また出るかもしれないし」


 頑張って夜遅くまでやったけど敵は出なかった。


「1日1回かもしれないわね……」


「これははっきり分かるまで大変だね」


「やるしかないわ。同じ事を第2層でもやらないといけない可能性もあるわ」


 うーん。気が遠くなってきたよ……


 攻略って大変なんだね!



 〜 ダークエルフ族の村 〜


 アイリスと一緒にゲットしたばかりの精霊の笛を見せに来たよ。


 ダークエルフ族の長老達が集まっているそうだけど……


 年齢がさっぱり分からない。長老というには若そうな人も多い。


『世界樹の枝から作った物の様だ』


「がっかりする事は無い」


 族長がそう言った。でもね……


「迷宮が世界樹と繋がりがある可能性が更に高まったのだ」


「「おお」」


 族長の仰る通りだね。攻略すれば更に世界樹関連の物がきっと出てくるよ!!


「ただ、僕達しか探索出来ないから効率は悪いですね」


「それは仕方がない事。都市の運営が上手く行けば君達の冒険者としての時間も増える。我々は全力で支えるつもりだ」


 ダークエルフ達は本当によく頑張ってくれているよ!


「同胞の協力に感謝します」


 アイリスがダークエルフ達に感謝を伝えた。するとダークエルフ達は驚いた顔をした。


「同胞だと? 今、そう言ったのか?」


「あ、はい。私達の里はザリウスに救われました。それ以来、ダークエルフを同胞と思っていました。不快に思われましたら申し訳ありません」


「そ、そんなが事あったのか……不快などとんでもない。ぜひお互い協力して行こう」


「はい! 苦しいのは私達も同じです。元々わずかだったエルフの里は更に数を減らしていますので……」


 西の魔女により各地の里が被害を受けたらしい。


「私達は森で静かに暮らしたい気持ちが強いのよ。でもそれが出来ない世の中になってしまって……」


「開発すれば良いってもんじゃ無いんだね。自然との共存が出来る様にしないと……」


 辺境地を切り拓くのはエルフ達から見たらどう見えるのだろうか……


 今度、ミンフィーに相談してみよう。ミンフィーはどう考えているんだろうね。

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