第112話 剣心
ティアナが魔剣ニャンタをしっかりと握り締めて持ち上げた! そして最上段に構えた!!
「やれる! 自分の手足の様に軽いわ!!」
まあティアナをイメージした剣だからね。手足の様に感じるのも当然かな。
「それになんだか胸が熱くなるわ!!」
あまり言うとニャンタが恥ずかしいからね。
「ティアナの位置取りはどうしようか?」
「そうね……フェンの所に入ってもらうわ」
両手剣を軽々と振り回すなら立派なアタッカーだ。
「フェンとスノウはもっと自由な位置取りの方が力を発揮出来ると思っていたからちょうどいいわ」
クルミを先頭に迷宮の奥へと進んでいく。洞窟タイプのダンジョンだ。モンスターはいるみたいだけど弱いみたいでクルミとフェン、スノウが倒してしまっている。
「どうもDかEクラスのダンジョンみたいです。でもトラップがありますし宝箱も出ます。中身は結構良い物です」
「トラップはどんな感じなの?」
「初歩的な毒や落とし穴ですね」
フェンでもそれなら解除出来るそうだ。
この層は問題なさそうだね。簡単に下への階段が見つかったよ。
〜 古代迷宮 第2層 〜
第2層は森林タイプのダンジョンだった。
不思議だ……ダンジョンなのに空がある……
「コレは厄介ですね……トラップが発見しにくいです」
クルミを先頭にしてその後ろをフェンが行く。時々クルミがトラップを見つけて解除しているが額に汗が滲んでいる。
「モンスターが来ます! 強そうです! 警戒を!!」
フェンが後ろを振り返って警戒を呼びかけた! クルミはすぐに後ろに引いた。僕は罠の無い安全な場所で敵を迎え撃つ準備をした。
ドン! ドン! ドン! ドン!
大型モンスターの足音が近づいてくる……
「竜種! グリーンドラゴンよ! 毒とブレスに注意!!」
ミンフィーがそう言うと一気に緊張が高まった。
ドラゴンか! 初めて戦うけど怯む訳にはいかない!!
「来い!!」
緑色の巨体を睨みつけてぶっ叩く!!
ドガーーーーー!!!
気合いを入れて本気でぶっ叩いたら、ミョルニルの打撃と共に激しい爆雷が巻き起こった!!
グリーンドラゴンが怒り狂って僕を攻撃してくる!
かなり素早い! 回避出来ないから盾で受けた!
「ヒール!!」
栞さんから久しぶりにカウンターヒールを貰った。それでも腕が少し痺れている。
「凄い攻撃力だ! 気をつけて!!」
ドラゴンと睨み合って攻防を繰り返す!
ミンフィーが右から。左からは魔剣ニャンタを手にしたティアナが攻撃を開始した。
ミンフィーのローキックが爆烈した!!
足から凄い炎を上げてドラゴンを蹴り飛ばした!!
そして!
魔剣ニャンタが赤い光を放つ!
ティアナがドラゴンを薙ぎ払った!!
ドラゴンの硬い皮を切り裂いて大ダメージを与えた!
フェン、スノウ、クルミも攻撃を加えている。僕も必死にぶっ叩く!! ドラゴンが大きく口を開いた!!
「ブレス来るわよ!!」
「アイスシールド!!」
栞さんが魔法で氷の盾を作り出した!
その盾にグリーンドラゴンの炎のブレスはかき消される。
「いけぇ〜〜!!」
渾身の力を込めてぶっ叩いた!! また激しい爆雷が起こった! ドラゴンは必死に攻撃してくるけどかなりのダメージを負っている様だ。僕ばかり見ているけど……
ザン……
ティアナが魔剣ニャンタでドラゴンの首筋を突き刺した!
ピクっとドラゴンは動いたけどすぐに動きを止めた。
グリーンドラゴンは魔石になった!
「や、やったわ!」
「ティアナ! いい感じじゃないの!」
みんなティアナの所に駆け寄って喜んでいるよ。
クルミだけは地面を見つめているけどね……
「クルミ。どうした?」
「小さな宝箱があります……」
どうも宝箱を見つけた様だ。
「危険よ! 栞さん、鑑定を!」
栞さんが鑑定する!!
グリーンドラゴンの宝箱 トラップ有 Bランク
「Bランクのトラップ有りです」
Bランクか……クルミはまだCランク冒険者だ。
「や、やらせて下さい!!」
「駄目よ。危険すぎるわ」
ミンフィーは許可しなかった。クルミは悔しそうに宝箱を見つめている。
「厳しいと思ったからジッと見つめていたのでしょ?」
「はい……」
「コレは練習ではないわ。命に関わるの。駄目ね」
「分かりました」
ドラゴンが居るのはかなり危険だ。森林という地形も戦いにくい。
「今日は慎重にドラゴンと戦う訓練をしましょう」
安全地帯を確保してそこへドラゴンを誘き寄せて戦った。何度か宝箱が出たけどクルミが挑戦出来る物は無かった。
全てBランクのトラップ付きだった。
今までクルミはすくすく育っていたけど初めて壁にぶつかったね。落ち込んだクルミを見るのは初めてだ。
「ここで頑張ればレベルも上がるわ」
「はい……頑張ります!!」
クルミにもようやく火がついたみたいだね!!
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