第8話 底辺の戦い4
「ミンフィー、次はどこのダンジョンに行こうか?」
「しばらくスライムダンジョンでいいと思うわ」
「え? もうクリアしたのに?」
「まだ訓練が足りないわ。もう少し戦える様になってから次に行きましょう」
またスライムダンジョンに行く事にした。
僕の戦い方を見てミンフィーがアドバイスをしてくれる。
「モッシュ、武器は棍棒だけじゃないわ。蹴りを使った方がいい時があったわよ。盾だって攻撃に使えるのよ」
「そうか〜 つい棍棒に頼っちゃうみたいだね」
「防御も同じよ。せっかく受け流しスキルが上がったんだから武器で受け流してみて。そこからカウンターを狙うの」
ミンフィーはモンクの目線でアドバイスをしてくれる。
スライムの攻撃を盾ではなく棍棒で受け流してみる。
スライムが体当たりして来た!
棍棒を前に出してスライムを払い退けた。
ヒョイ!
スライムを地面に叩きつけた所に蹴りを入れてみた!
ベシッ!
「うわ! 本当だね! とても楽に戦えるよ!」
「体が自然に動くまで練習すれば無意識に反応出来るわ」
スライムが3匹ポップする部屋でひたすら訓練をする。ミンフィーは紅茶を飲みながら僕の戦いを眺めて、アドバイスをしてくれる。
スライムをとても楽に倒せる様になって来た。
「受け流しスキルは結構いいのかもしれないね」
「スキルのせいじゃないわ。体が戦い方を覚えてきたのよ」
サポーターコースでは戦闘の訓練なんてしないからね。
逃げる訓練はよくやったけどね! ただ走るだけ!
「ほとんどダメージを受けてないけど、回復魔法をたまに使ってね」
「どうして? 魔力が勿体無いよ?」
「体力を上げるのと同じで魔力も使わないと鍛えれないわ」
「ミンフィーは魔法も使えるの?」
「私は『ピュアファイター』よ。魔法は一切使わないわ」
「どうして? 誰でも使える魔法くらい覚えばいいのに」
「最強の私に魔法なんて不要なの。ちょっとした自己回復ならスキルで出来るのよ」
サポーターコースの『ガチャ』と幹部候補生の『ガチャ』はかなり違う。ミンフィーの『酔拳』にはいろんなスキルが内包されている。どんなスキルがあるのか本人しか知らない。
『自分の持ちスキルを他の人に教える事は滅多に無い』
対戦する時にはスキルを知られてない方が有利だからね。
多分、ミンフィーは普通のモンクが持っているスキルはほとんど持っているはず。それだけでも相当な強さだね。
〜1週間後〜
「動きが良くなったわ。明日は別の所に行きましょう」
「コボルトかゴブリンのダンジョンかな」
「剣は買えないのよね?」
「うん、食費しかないんだよ」
「思い切ってスケルトンダンジョンにしましょう。武器の相性がいいわ。今日は早目に帰って私と特訓よ!」
スケルトンはコボルト、ゴブリンよりちょっと強いし、あまり人気がある敵ではない。剣の攻撃にちょっとだけ耐性があるからね。
スライムと違って手も足もある人型の敵だ。武器を持ったヤツもいる。
ギルドハウスのホールでミンフィーがスケルトン役をやってくれてた。
ミンフィーが手を突き出したら手で受け流す!
ただそれだけの特訓……
ミンフィーが手を突き出す
スー
僕が手で受け流す
ペシ
スー ペシ スー ペシ スー ペシ ……
「こんなのでいいの?」
「これはモンクの初心者向けの練習よ。他のジョブでも有効だと思うわ。明日、必ず役に立つわ」
ちょっとずつ速度が早くなってきたけど、単純な繰り返しでイマイチ効果が分からない。ミンフィーを信じてしっかりと集中して訓練する。
弱い僕の為にずっと付き合ってくれているんだ
ミンフィーは優しくて とてもいいギルドマスター
絶対にSクラスまで這い上がらないと!!
その為には僕が弱いままじゃ駄目
ミンフィーと一緒に冒険出来るくらいの強さが必要
スー ペシ スー ペシ スー ペシ ……
誰か強い人、来ないかな?
「パーティー募集をしているのに誰も来ないね?」
「え? ええ。そうね。ウチが小さいからよ、きっと」
そうだよなぁ〜
スライムダンジョンなんて誰も行かないしスケルトンも不人気だから嫌だろうな……
「ミンフィーごめんね。僕、もっと頑張るよ」
「これでいいじゃない。ちゃんと生活出来ているわ」
「そうだけどさ……」
「そろそろ食事にしましょう。今日はミートスパゲティーとサラダね」
ミンフィーはとても楽しそうに料理をしている。ミートソースも自分で工夫して作っているみたい。
「ミンフィーはいい奥さんになるよね」
「ふふふ。もちろんよ?」
「でもミンフィーの旦那さんは大変だね」
「え? どうして?」
「やっぱり奥さんより弱いなんて嫌だと思うよ」
「そ、そうかしら? 別にいいと思うけど……」
「僕だったら気になるな〜」
手作りミートソースはトマトの酸味がとても美味しい。細めのパスタによく絡んで最高だね。
ミンフィーは何か考え事をしているみたい。
きっとギルドのこれからが心配なんだ……
絶対Sクラスに戻れる様に頑張るよ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます