第7話 底辺の戦い3

 ミンフィーのピンクの長い髪からとてもいい匂いがする


 髪をくしでといてくれる人がいないから僕がやる事になった。


「ごめんね、もし嫌だったら髪を切るわ」


「ううん、別に嫌じゃないからこのままでいいよ」


 ミンフィーの髪はとても長いので手入れが大変みたい。


 ミンフィーは目を閉じてじっとしている。


 しばらく櫛でゆっくり、丁寧にといてあげた。


「とても綺麗だね」


「…………」


「ミンフィー?」


 ミンフィーは寝てしまったみたい。抱っこしてベットに寝かせてあげた。



 〜次の日〜


 早朝からスライムダンジョン攻略に挑む!

 

 スライムダンジョンは全2層!


 冒険者なら誰でもクリア出来る!


 でも、僕はサポーターなので結構大変……


 ダンジョンをクリアしたら『ガチャ』が引ける。 


 卒業式の特別なジョブ専用『ガチャ』ではなくて


 ごちゃ混ぜ『ガチャ』!


 どんなジョブのスキルが出るのか決まってない。

 ただ、高ランク者向けの特別なダンジョンにはジョブ専用『ガチャ』もあるらしい。

 ダンジョンの難易度によって『ガチャ』の中身も変わる。


 初心者向けのスライムダンジョンは当然、


 ゴミスキルの集まり!


 こんなダンジョンに来る人はほとんど居ない……


 『ガチャ』が引けるのは初回クリアの時だけなので、同じダンジョンを複数回クリアしても『ガチャ』は引けない。


 僕にとっては貴重なチャンス!


 まさか戦闘をする事になるとは思ってなかったけど……

 

 攻撃スキルが欲しい!


 ギルドハウスで準備を整えているとミンフィーが準備してこちらに来た。


「ねえ? スキルはもう使ったかしら?」


「まだだよ? ミンフィー、何か飲む?」


「スライムダンジョンではレベル4までしか上げれないわ。すぐにレベルが上がるから先にスキルを使っておいて」


「なるほど! 昨日作ったのも残ってるけどどうしよう?」


「まずは『運アップ』ね。それと『移動速度アップ』『防御力アップ』くらいかしら。正直『運アップ』以外は何でもいいわ」


 今日、1番大事なのは『ガチャ』だから当然かな。


 スライムダンジョンに入ってどんどんスライムを倒す。今日はクリア目的なので一気に2層目まで来た。

 ここからは少しだけ敵が強くなるけど、レベルアップと飲み物効果で楽勝!


 もうレベル4になっている


 経験値アップの飲み物効果が大きいのかな?


「モッシュ、盾と棍棒の扱いが上手くなっているわね。レベルアップしたから強くなったと思っているかもしれないけど、それだけではないのよ」


 確かに……いろいろ戦い方を考えて工夫したのもあるかもしれない。


「最後はスライム5匹だけど頑張って自分で倒してみるよ」


 町の近くにある有名なダンジョンは攻略法が完全に知られている。最後の部屋は2層のスライムと同じ強さで数が増えて5匹いるだけと既に分かっている。


 スライム5匹に突撃する!


 盾でスライムの攻撃をしっかり防いで、こっちからの攻撃を確実に当てていく。よく見て戦えばそんなに攻撃を受けない。


 かなりスムーズに敵を全滅させた!!


 僕もやれば出来る!


 敵を全滅させたら洞窟の壁に扉が出来た。


 扉を開けて中に入るとガチャマシーンが置かれている 


「運アップの飲み物は麦茶にしたよ。紅茶ばかりだと飽きるからね」


「いいわね。モッシュから引いて」


 ミンフィーと一緒に


『運アップ』の麦茶を飲んで


 冒険者カードを『ガチャ』マシンに差し込んで赤いボタンを押した!


 ポチ!


 四角の透明な箱の中に色とりどりのカプセルが入っていてボタンを押すと、ガチャガチャ音を立てて掻き回されている。


 ポトン……


 その中からカプセルが排出された。


 緑色のカプセルだった。


 スキル 受け流し +2


「ううう……防御スキルか……」


「ここで+2が出れば大当たりよ」


 ミンフィーが冒険者カードをガチャマシンに差し込んで赤いボタンを叩いた!


 ボン!


 カプセルガチャガチャ掻き回されて


 ポトン!


 茶色のカプセルだった。


 スキル 調理 +2


「やったわ!」


 ミンフィーが僕に抱きついてきた!


 とても嬉しそう ニコニコ笑っている


「おめでとう! そんなに嬉しいの? 生産職のスキルだよ?」


「これから毎日、料理をするんですもの! いい引きだわ」


 夕方までスライムダンジョンで過ごして冒険者ギルド協会で魔石を換金した。


「食材を買った余りはモッシュに預けるわ。あなたが考えて自由に使っていいわよ」


「でも、お嬢様の取り分も必要ですよね?」


「私がお金を持っているとどんどん使ってしまうわ。欲しい物がある時は言うからあなたが管理して」


 確かにミンフィーはお嬢様だったから金銭感覚がちょっとズレているかもしれない。

 

 もう無駄使いは出来ない


 その日暮らしの生活だからね


 今日の夕食は鶏肉の香草焼きとトマト入りサラダ。


 片付けがしやすいようにキッチンで食べる事にした。作るのはミンフィーだけど片付けは2人で一緒。


「今日もお願いね。昨日は寝てしまってごめんね」


「いいんだよ。風邪を引かないようにね」


 ミンフィーの髪を櫛でといてあげる。


 結局、今日もミンフィーは寝てしまった。


 あれ? 


 テーブルの上にティーカップが出しっぱなしだ。ミンフィーは綺麗好きだから洗っておいてあげないと。


 紅茶を飲むと目が覚めるからね。寝ないようにする為に飲んだみたいだけど、とても気持ち良さそうに寝ている。


 気にしなくてもいいんだけどね

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