大きな水たまり
水たまりの底で
豆君は思い返しました
きらきらゆらゆらにも
あきてきました
これは終わりではない
そう思い
水たまりの底を歩き
壁を這いあがり
水たまりの外へ出ました
水たまりの外は大雨でした
ふやけてしまう
と思いましたが
もうかなりふやけていたので
問題ありませんでした
ふやけたからだで
雨の中を歩いていきました
雨にうたれるのは
気持ちがよくて
豆君はへらへら笑って歩いていました
「へらへら」はそのうち「はっはっはっは」
となりそのうち
「はっはっはっは」は「ぎゃはははは」
となりました
豆君は「ぎゃはははは」と
笑いながら歩いていきました
とつぜん
「なにがそんなにおかしいんだ!」
とクモの巣からクモが
豆君にむかって叫びました
「雨が気持ちいいんだ!」
豆君は叫び返しました
「なんだとびしょぬれになるんだぞ
クモの巣だってこんなになるんだぞ」
クモはいいました
「いいじゃないか
クモの巣もキラキラしてきれいだし」
豆君はボソッといいました
「そうだな」
とクモはいいました
豆君は歩くのにもあきてきたので
木に登る事にしました
大きな木を探して
さっそく登りはじめました
木の表面の凸凹したところをつたって
上へ上へと登りました
てっぺんにたどりつく頃には
雨も上がり
雲の切れ間から
光がさしてきていました
見渡す限り
キラキラと綺麗でした
山も川も地面も
みんな綺麗でした
生まれた村はどこかな?
と探しましたがわかりませんでした
どこも同じにみえました
しばらくそこで
キラキラした景色を眺めていました
陽も沈みやがて夜になりました
月のない夜空でした
空いっぱいの星でした
星があるのを忘れていたな
豆君は思いました
「星 綺麗だな」
豆君はつぶやきました
その晩は木の上ですごしました
朝になり
豆君はやっぱり歩くことにしました
降りるのが面倒だったので
そこから飛び降りました
「それっ」と飛び降りると
豆君は地面に衝突
ズボッ と地面に埋まりました
どうにかこうにかそこから抜け出しました
泥だらけです
「まあいいか」
そういって豆君はまた歩き出しました
泥だらけのふやけたからだで歩いていきました
豆君はずんずんずんずん歩いていきました
とうとう地の果ての
とてつもなく大きな水たまりまで
たどりつきました
これも世界か
どれが世界だ
みんな世界だ
なにが世界だ
と豆君は思いました
考えても仕方がないので
みんなみてやる!
豆君は決めました
そう決めたけど
しばらくそこで
とてつもなく大きな水たまりを眺めていました
綺麗だな
と思いながら
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