第33話 特化型ね!
ドンガさんがサスティナさんと一緒に『フォックステール』に来た。何度も何度もお礼を言われて困っちゃったよ。
サスティナさんはとても明るい人。私達がここに来る前から呪いで動けなくなっていたんだって。
「戦士としてバンバン敵を倒した方が私には合っているんですけど、そうも言っていられない状況ね」
「以前は錬成なんか興味が無いと言っていてな」
「でもやってみたら意外と楽しいわね」
サスティナさんが銅のインゴットを見せてくれた。
鑑定魔法ポン!
高純度・銅インゴット 品質 特上
フムフム、高純度ね。ドワーフさん達も特上まで品質を上がれる様になったんだ。もう一段で極上だね。
「これで物を作ったら凄そうですね」
「ハルカ、今日は他にも見てもらいたい物があるんだ
そう言ってドンガさんが見取図を見せてくれた。
「こ、これは……」
「ガガンゴ鉱山を要塞にするんだ。表向きはガガンゴ鉱山村とナナンゴ村を繋ぐ大きなトンネルを掘る事にするがな」
「大規模ですね。これは時間が掛かりそう」
更にガガンゴ鉱山村とナナンゴ村の防衛強化策、東の隣国『ジン』との国境付近の川に橋を架ける計画まである。全ての図面にモッチさんのサインがあるから彼女の設計ね。
「こんなにやるんですか?」
「やる他ないんだ。ハルカ、採掘師の最高装備を用意してくれないか?」
ドンガさんは良い装備を使う事で計画を早く進めたいみたいだね。
「う〜ん、ピッケルとかは出来るんですが、服を作るのに糸や布材、革材が欲しいですね」
「糸や布材は東の隣国『ジン』の特産品だ。なるべく良い物を仕入れる。皮は北の隣国『エルレール』の特産品だ。これも何とかする」
『エルレール』はドワーフ族との相性は最悪とされるエルフ族の国。全く交流は無いって聞いた事があるけど……
「俺と妻で頭を下げて頼めば何とかなるさ。心配するな」
「2人だけでは危険です。護衛を……私のギルドから冒険者を派遣します。他の種族との融和を図っているとアピール出来るかもしません」
「ハルカさん、あなた中々の策士ね。よろしくお願いしますね」
エルフとドワーフの仲の悪さは有名過ぎるからね。
弟くんがサッとギルドメンバーのリストを差し出した。
い、居たんだ! いつの間に……
「ここへ最初に来てくれた3人組のパーティーはオークロードとの戦いでもドンガさんを決死の覚悟で守っていました。そのパーティーをドンガさん、女性だけで頑張っているパーティーをサスティナ様の護衛に付けます」
〜 次の日 〜
護衛役に選んだメンバーに事情を説明して任務を任せた。
「これはとても重要な任務です。私も最高装備をあなた達に準備します。王と王妃をしっかりと護衛して下さい」
男性3人組パーティーをギルド幹部に任命した。
戦士 キース、僧侶 ワグナ、魔法使い ドミニク
「あなた達の戦いを先日見ました。素晴らしい奮戦ぶりを誇りに思ったわ。これからは後輩の指導もお願いしますね」
更に女性パーティーのリーダーもギルド幹部にした。
魔法剣士 ユリナ
「女性の意見もギルドに反映させたいわ。あなた達の力が必要です。みんなが力を思う存分発揮出来る環境を一緒に考えていきましょうね」
と言えば何だかカッコいいけど……早い話が丸投げね!!
正直、ギルドマスターとしてはほとんど活動出来てない!
出来ない事はお任せする! ハルカ流のギルド運営よ!
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