第13話 形から入るのね!

 ガガンゴ鉱山村の住民は私達姉弟2人とドンガさんの3人しか居ない。洞窟内で暮らしているドワーフさん達は含まれないんだって。ドンガさんの息子ソウガはたまに外の家に泊まりに来るけど、基本的に洞窟内の家に帰る。


「お姉ちゃん、ドンガさんに頼まれてさぁ〜 お店と一緒に冒険者ギルドっぽい事もやる事にしたよ」


「へぇ〜 どんな仕事をするの?」


「クエストを掲示板に貼り出す仕事だよ。簡単だからいいかなって」


 ドワーフさん達の依頼を掲示板に貼ればいいんだって。


「もしやってくれるならちゃんとしたお店を作ってくれるんだってさ」


「いいじゃない! 私も手伝うよ!」


 私は1日2往復の銅鉱石採掘を続けてながら物作りの勉強をしている。また弟くんが分厚い本を何冊も買って来てくれたんだよね。


 その本の中に大魔導と賢者の違いについての記述があった。大魔導は魔法に特化しているのに対して賢者はなんでも屋さんなんだって。魔力だけは大魔導の方が上で、賢者は全体的にステータスが高いんだって。


『 大魔導と賢者は全ての魔法が使える点においては違いが無い。大魔導は攻撃が得意で、賢者は防衛が得意というが確証は無い 』


 弟くんのお店が出来るまでにいろんな物を作れる様になりたい。


「基本はやっぱり薬だよね。魔女っぽい格好をしてさ、凄く良く効く薬を作るの! あとは銅鉱石があるから鍛治職人もいいな」


「両方共、生産系のジョブになるよ。薬は錬金術師、鍛治は鍛治師だね」


「あれ? もしかして……いきなり上手とかあり?」


 移点の尾を使えばいきなりレベル高いよ!


「お姉ちゃんのスキルはヤバイよね。今レベル幾つなの?」


「レベル38だよ」


 採掘を2往復すると採掘師がレベル5からレベル6に上がる。それを毎日続けているからドンドン上がっちゃうの!


「うーん……しかもお姉ちゃんには狐火があるしね」


「ウンウン! 火を使う仕事は相性が良さそう」


 鍛治はいけるんじゃない! 


「お姉ちゃんの作業場が居るね。僕がドンガさんと相談するよ。錬金に必要な物は僕が仕入れて来るね」


「魔女っぽい服もお願いしていいかな……」


 形から入るタイプです! ハイ!


「うん。色はどうしようか?」


「黒! 魔女は絶対に黒でしょう!」


「了解です。いいね! 楽しくなってきたよ」


 弟くんはなんだかとても嬉しそう。パッと消えて何処に行っちゃった。そして戻ってくる度に物がドンドン増えていく。錬金釜等の錬金道具、いろんな薬草、そして魔女の服!


「服は王都で最高の装備だから戦闘でも使えるよ。それとこの杖を使って」


 そう言って弟くんは杖を2本くれた。古ぼけた木の短い杖と青白い金属で出来た飾りの付いたお洒落な長い杖。


「木の杖は隠蔽の杖って言う杖だよ。これを持っていると魔力を隠せる。もうお姉ちゃんは凄い魔力だから普段はコレを装備して。もう1本はミスリル製のアルテミスの杖って言う杖だよ」


 もう私はモンスターが逃げちゃうくらいの魔力があるみたい。魔力に敏感な人だと私から溢れる魔力を察知しちゃうんだって! この隠蔽の杖があれば魔力が高いって全然バレないみたい。


「このアルテミスの杖……凄いね。コレで魔法を使ったら」


「お姉ちゃんがその杖と魔女の服を装備して本気の魔法を使ったら山を消し飛ばすよ」


 アルテミスの杖は勇者から借りた杖より格段に高性能だから使う時は注意が必要ね。


「でも……何処でコレを手に入れたの? コレは買える物には見えないけど?」


「ん〜〜 その辺は秘密だよ。アルテミスの杖はお姉ちゃんの空間魔法で収納しておいて。そうすれば危険な時にすぐに使えるから」


 空間魔法はとても便利そうだからよく練習している。右手にアルテミスの杖を持ってスッと異空間へ送った。そして今度は異空間から取り出すイメージでスッと握る。


 隠蔽の杖を異空間に送ると同時にアルテミスの杖を取り出せれば最高かな!

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