第12話 夢を叶えるのね!

 モッチさんの実験はお風呂に関する事だった。


「細い金属管の下に狐火を並べて水を温めるってのを閃いたのよ! 管の中を水が通っていく内にお湯に変化するの」


「うーん……全然分かりません。シュンは?」


「う、うん。なんとなく分かる気がするかな」


 ジトッとシュンを見つめる。なんか知っていたんじゃないかな。お姉ちゃんの勘は誤魔化せないんだからね!


「もしコレが成功すれば洞窟内に巨大な入浴施設を作って、みんなを風呂好きにしてあげるわ!!」


 どうもドワーフ族はお風呂に入る習慣はないらしい。確かに匂いがキツイ時があるから綺麗にするのは良いと思う!


「あとシュンが言っていた熱風も考えてみるわね!」


 モッチさんは発明するのが好きなんだって。


 私がやるの言われた通りに狐火を出すだけだから、何の苦にもならない。これでお風呂を作って貰えれば何も言う事ないよ。


 モッチさんは実験装置をすぐに作って来た。グニャグニャ曲がった細い管の下側を風避けの板で囲っている。


「かなり高温みたいだからちょっと管から離してね」


 モッチさんが大体の高さを支持してくれた。


「じゃあいきま〜す」


 管の下に小さい狐火をドンドン並べていく!


「無詠唱ね……凄いわ」


「まだ練習中ですけどね!」


 ギッシリと狐火を並べ終えたよ!


「ではでは! 管に冷たい水を流してみるね!」


 モッチさんが装置に付いている棒をグッと横へ倒した。


 しばらく待っていると……サーっと湯気の上がる水が管の先端から出だした!


 モッチさんがお湯に触って水温を確認した。


「アッチ! 熱すぎるわコレ! でもまあ成功ね!!」


 実験が成功したからお風呂は無料で作って貰った。


「お湯を入れるね!」


 水魔法と火魔法の同時発動!!


 バシャッと木の浴槽にお湯が出た。ちゃんと練習したからお湯の量もいい感じ! 行商人に買って来て貰った石鹸で体を洗うとスッキリした。

 後はゆったりとお湯に浸かる……


「最高だね!!」


「さすがお姉ちゃんだね!」


 あとはタオルでよく拭いて……


 風魔法と火魔法を同時発動!!


 ブワッと熱風が出てドンドン毛が乾いていくよ。後はブラシングをすればもう最高!! ふわふわのモフモフだよ!!


「コレこれから毎日出来るんだね!」


 弟くんは最高に嬉しいそう。私も最高に嬉しい!!


「お姉ちゃん、ここはとてもいい所だね」


「そうね。ここに来たらいろんな事が上手く行く感じ」


「僕、ここでお店をやるよ」


 弟くんは商人のジョブだもんね。


「私は……採掘師はドワーフさん達のお仕事だし、生活出来れば冒険者なんてやりたくないし……」


「お姉ちゃんの好き事すればいいよ」


「シュンのお店で売る物を作るって言うのはどうかな?」


「とりあえずそれでもいいよ。他に何か見つかった時はそれをやってもいいしね」


 私達はお店をやる事にした。


 ん? でもお客さんほとんど居ないよねココ?


 まあいっか! 


 弟くんの希望を叶えるいいお姉ちゃん。


 それが私のなりたいもの!!

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