第8話 要相談案件ね!

 カンテラの仕事を終えたら私も採掘作業をする。最初は体のあちこちが痛くなって大変だったけど、少しずつ体が慣れてきたみたい。


 ガガンゴ鉱山村に馬車が来て、石炭の買取をしてくれた。


 私は銅貨52枚も稼いだ。さっそく弟くんが欲しがっている物を注文する。


「次来る時に小さめのクワを買いたいです」


「子供でも使えそうなクワって事かい? 初めて見る子だね。君が使うのかい?」


 行商人が興味深そうに聞いてきた。


「ここで暮らす事になったハルカと言います。弟が畑をやりたいらしいので農具を買いたいんです」


 弟くんはスローライフって言うのをやるのが夢なんだってさ。よく分からないけど自分で野菜を作りたいみたい。


「ふーん。ドワーフ族はあまり農業はやらないから農具の在庫はほとんど無いんだ。ちょっとだけ時間が掛かるよ?」


「分かりました。待ってますのでお願いします」


「ドワーフ族の村に狐人族か……珍しい組み合わせだね」


「とても良くして貰ってます。ここでなら頑張れそうです」


「ドワーフ族は根が良い人ばかりだ。注文は承知した。頑張れよ」


 ドワーフ族はかなり無口だけど、優しい人ばかり。


 買い物も出来たしこれで弟くんの夢を叶えてあげれるよ!


 村の外れで弟くんはドンガさんと外柵作りを頑張っている。


「シュン〜〜! クワを注文したからね!」


「お姉ちゃんありがとう〜〜!」


 可愛い弟くんが嬉しそうに手を振っているわ。


 ムフフ! 冒険者になって稼ぐ計画は失敗したけどこれからはお姉ちゃんがバンバン稼ぎますからね〜〜!!


 今日も採掘、採掘っと! もう少しでレベル5なんだ!


 行く時はソウガと一緒に行く。


「なあ、オラもそのカンテラを使わせてくれないかな?」


「いいけど少し改造しないといけないよ?」


「油も節約出来るから1個ならいいさ」


 カンテラ置き場で古そうな物を選んで改造した。


「狐火!」


 カンテラに青白い炎が灯った!


「スゲーー!! 魔法初めてみたぜ!」


「もし消えちゃったら困るからしばらく普通のカンテラも持って行ってね」


「消えちゃうのか?」


「試している途中だから自信無いの。消したい時は言って、私が消さないと火がついたままだから。とても熱いから触らないでね」


 ソウガはカンテラをブンブン振り回している。不思議と私の狐火はカンテラの真ん中から動かないんだよね!


 狐火入りのカンテラが2個あると洞窟の中はとても明るくなる。普通のカンテラとは段違いに明るいからね。


 景色が明るいと気持ちも明るくなるよ! 


 ガンガン掘っちゃうからね〜〜!!


『 採掘師 レベル5になりました  採掘スキル及び特殊スキルを得ました 』


 神の声キターー!!


 採掘スキルは聞いていたけど、特殊スキルって何?


 弟くんから変なスキルをゲットしたら絶対、他人に教えてはダメって言われているんだよね。

 隣りにソウガが居るから冒険者カードは見れないね……


 レベルアップしたのは本人しか分からないし、黙っとこ!


 リュックサックの半分で採掘を止めて、いつも通りに小屋へ運ぶ。誰も居ない小屋の中でコソッと冒険者カードを確認してみた。


 ハルカ  大魔導  レベル  1

      採掘師  レベル  5


特殊魔法   狐火   追加効果 燃焼継続


スキル  重量上げ  小  常時発動

 

特殊スキル 移点の尾 経験値を他ジョブに移す

           1日1回使用可能


 うおおおい!! 凄いじゃんコレ!! 


 待って! 待って! 


 これで大魔道のレベル上げるんじゃない!? 

 これは弟くんに要相談だわ!! 

 勝手にやらない様に言われているからね!



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