兄から妹への初プレは

「さしでがましいようですが、ヒカリ様……本当にそれでよろしいのですか? ですわっ」


 俺が両親と別々に暮らすコトを心配してくれてますよ、ペリメール様。

 やっぱり優しいお姉さん、ってカンジです!

 

「はいっ! 後悔なんてしません! それにフィルフィーだって、女神としての責任があるハズですからっ!」


「ああんっ? なんだよ、責任ってよー?」


「だって、ボク、フィルフィーに勇者のチカラを吸われてザコレベルに戻っちゃったんでしょっ? フィルフィーって、ボクが一人前になるまで面倒見なさい、って神様に言われてるよねっ?」


「ああん? そういや、そんなコト言われてたっけかー?」


「それに、だってっ! ザコレベルに戻っちゃったんなら、やり直せばいいって言ったのフィルフィーなんだからねっ! 仮にも女神サマなら、ちゃんと責任取ってよねっ!」


「仮にもじゃねーわっ。あたしは女神だっつーのっ!」


 

「うふふっ♪ ヒカ君とヤンキー女神サマは仲良しなのねっ」


「えー? そんな風に見えるかなっ?」


 やいのやいのと言い合う俺達を微笑ましく見る母さんですよ。

 まあ、出会った頃に比べたら仲良くなったかもしれないけどっ。


「ねえ、ヒカ君。母さんね、思ったんだけど……この世界って『あの世』なのかも知れないなあ、って」


「えっ!?」


 いきなりナニを言い出すかと思ったら、この世界が『あの世』っ!?

 これは考えたコトも無かったですよっっ!


「なんで、そう思ったのっ?」


「だって、神様とか女神様がいるでしょ? 魔王とか大魔王サマとかもいるし、キテレツな能力持ってるヒト達がわんさかいるし。

 天界の住人とやらになれば、女同士でも妊娠が出来て、男でも出産出来ちゃうみたいだし?」


 キテレツな能力がわんさかって、まあ、わんさかいるけど。


「まっ。これは、あくまでも母さんの妄想なんだけどねっ♪」


 なんつって、にっこり微笑む爽やかイケメンマッチョのお兄さんな母さんですよ。

 見た目は違っても、中身はやっぱり『母さん』ってカンジだなー。


「この世界が『あの世』だなんて考えたコトも無かったよ……でも、なんか、母さんらしいね」

 

「あらやだっ。ヒカ君に褒められちゃった♪」


 いや、別に褒めたつもりは無いんだけど。て言うか、クネクネしないでよね、イケメンマッチョのお兄さんな母さんっ。

 なんだか、おネエっぽいですよっ。


「う゛にゃああん~ん~っ」


 むむっ。このうにゃり声はルルコちゃん! なんだかムズがってますよ。どしたのかなっ?


「んん? お腹が空いたのかなっ? ママのおっぱい飲むか、ルルコっ?」


 ルルコちゃんを抱いたまま、いきなりオパイを出そうとするルルコちゃんママ、つまりは俺の父さんですよ。


「えっ、あのっ、ちょっと、父さんっ? こんなトコで出しちゃうのっ?」


「んー? だって、ルルコがお腹空かせてるんだぞー? ヒカリは母乳なんて出ないだろー?」


「えっ、いや、出ないけどっ。でも、ほらっ。あのっ……恥ずかしくないのっ?」


「愛しい我が子がお腹を空かせてるんだぞ? 恥ずかしいコトなんて微塵も無いよ。あ、ヒカリも飲むかっ?」


「えっ!? 飲まないようっ」


 幼児に授乳って、ルルコちゃんのママの姿なら全く違和感無いけど、前世の父さんの姿を想像しちゃうとヤバいっ! ヤバ過ぎるっ! 

 言わないけど!


 しゅるりと衣類をはだけて、ホントにルルコちゃんに授乳し始めちゃいましたよ、ルルコちゃんママ。

 俺、見ててもいいのかなっ?

 怒られないのかなっ?


「見ててもいいけど、ちくびは見るなよ、ヒカリっ」


「えっ!? 見ないようっ」


 さすがに見ませんて! そこまでデリカシー無しじゃナイですよっ!


「あー、う゛にゃ」


 くぴくぴと母乳を飲み始めるルルコちゃんですよ。ホントにお腹空いてたのか。

 まあ、美味しそうに飲んじゃって。

 なんかこう。

 一生懸命に飲んでる姿を見てると、生命って尊いなって思えちゃいますよー。

 

「本当に愛らしくてカワイイですわっ♡ いつまでも見ていたいですわっ♡」


 ペリメール様ったら、授乳に興味津々です。その優しい表情は、やっぱり女神様! ってカンジですよー!


「うむ。善きかな善きかな」


 神様店長が言うとなんかイヤらしく聞こえちゃうんですけど。

 父さん、つまりはルルコちゃんママは全然気にしてないみたいだけどっ。

 人妻の授乳をガン見するなんて、とんだバチ当たりな神様ですよー!



 授乳を終えて背中をポンポンすると、けぷっとカワイイゲップして眠っちゃいましたよ、ルルコちゃん。

 これぞ、まさに愛らしい天使! 

 魔王にさせられて大暴れしてたとは思えないですよ! 


「ルルコが大きくなったら、女神様達みたいにキレイなドレスが似合う女の子になってくれたらいいなあ。なあ、母さんや」


「そうねー。スゴくステキなドレスですものねえ。惚れ惚れしちゃいますっ」


 フィルフィーとペリメール様の煌光神衣グリスタードレスに見惚れる父さんと母さんですよ。


「まあっ。ありがとうございますっ、ですわっ」


「へへっ、あざっす」


 褒められて嬉しそうなペリメール様と照れるフィルフィー。

 動く度に光が零れるドレスなんて何処にも売ってないから、手に入れるには、ルルコちゃんが女神になるしかないんじゃないのかなっ?

 もしかして、そういう未来もあったりするのかなっ?


 ルルコちゃんが着てた白いワンピースは、俺との闘いでズタボロになっちゃったからなー。


 白いワンピース、か……ルルコちゃん、似合ってたなー。また見たいなー。

 

 ……んっ?

 んんっ? 白いワンピースと言えばっ!


 うお!

 この瞬間、俺はっ!

 思い付いたよ、思い付いちゃいましたよ、男のお兄ちゃん!


 ルルコちゃんが大きくなって、白いワンピースを着られるようになったなら!


 ルルコちゃんに『麦わら帽子』をプレゼント!


 白いワンピースに麦わら帽子はテッパン中のテッパン! 兄から妹への初プレは『麦わら帽子』に決定です!


 これは楽しみでしかないっ!

 うおお、テンション爆上がりっ!

 白ワンピに麦わら帽子のルルコちゃんなんて想像するだけで萌えるっ!

 ルルコちゃんも、きっと喜んでくれるハズですよ!

 いっぱいおっぱい飲んで、健やかに育って欲しいと願う俺ですようおおおー!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る