リセット! ルルコちゃん! 初めまして! ルルコたん!!
いよいよ別れの時。
10歳くらいの美少女ルルコちゃんの姿は、これで見納めですよ。
ちょっと寂しいけど、ちっちゃいルルコちゃんに会えると思えば淋しくなんかナイですよ!
フィルフィーと向き合うルルコちゃんは、端から見れば『ヤンキー女神にカツアゲされそうな女の子』に見えちゃうのが、うむむってカンジですがっ。
「ねえ、お兄ちゃんっ!」
「うんっ? 何かなっ?」
「ルルコが『ちっちゃいルルコ』に戻っても、抵抗出来ないからって変なイタズラとかしないでよねっ!」
「えっ!? そんなコトしないよっっ!?」
別れ際になんてコトを言うんですかね、まったくもうっ。
「なーんてねっ! また会えたら、優しくしてよねっ! ……ヒカリお兄ちゃんっ!」
うごっっ。
ニッコリ笑顔で『ヒカリお兄ちゃん』なんて呼ぶもんだから、思わずキュンときちゃいましたよ。ツンからのデレ具合が100点満点じゃないですかっ。
ツンツンしてるより、そのくらい素直な方が200倍カワイイですよー!
「あっ。そうだ、ルルコちゃんっ! サンドイッチって好きかなっ?」
「サンドイッチ? 大好きだよっ。なんで?」
「あのねっ。ペリメール様とラーフィアちゃんとレイルさんの作ったサンドイッチって、めちゃめちゃ美味しいんだよっ。だから、また会えたら……みんなでピクニックに行って、一緒に食べよう、ルルコちゃんっ!」
「ふーん……お兄ちゃんは作らないのっ?」
「えっ? 作ったコト無いよっ?」
「じゃあ、宿題ね、お兄ちゃん! 今度ルルコに会う時までに、美味しいサンドイッチを作れるようになるコト! 約束ねっ!」
なななんと、宿題出されちゃったよ、お兄ちゃん! こうなりゃ頑張ってサンドイッチを作れるようにならないとですよっ!
そんでもって、いつか。
暖かい陽射しの下で、いつかきっと。
みんなで美味しいサンドイッチを食べる日が来るハズですよ!
「うんっ……わかった、約束するっ! だから、サヨナラなんて言わないよっ! また会おうね、ルルコちゃんっ!」
「うんっ!」
パタパタっと、俺に手を振って、にっこり微笑むルルコちゃんですよ。
「それじゃあ、お願いしますっ。ヤンキー女神サマっ♪」
別れが寂しいってカンジじゃ無くて、なんだか嬉しそうで楽しそう。
これから起きる出来事にワクワクしてるって言うか、絶叫マシン発車5秒前って言うか、プレゼントの箱を目の前にしてるって言うか、まあそんなカンジです!
なんだか、俺までドキドキしちゃいますよー!
「『今からオマエをリセットをする。私の目を見よ、コウダルルコ』」
フィルフィーが両手を挙げると、
続けて、ピアノを弾くみたいに指を動かした後、ルルコちゃんに手のひらを向けて。
そんでもって、いよいよ、その時がっ!
「『
フィルフィーの
しゅわわわわああっ!
と、炭酸水みたいな音と真っ白い煙でなーんも見えなくなっちゃいましたよー!
突然現れた『妹魔王』との別れ。
また会えるってわかってても、今度会う時はルルコちゃんにとっては、俺とは初対面なんだよな……
魔王城で一緒にお茶したコトとか、大暴れして闘ったコトとか、相撲取ったコトとか、全部、忘れちゃってるんだよな……
でも。
ほんの少しの間だったけど。ルルコちゃんとの思い出は、俺の中にしっかり残ってるから。
だから。
いつか、その話を出来たらいいな……
こんなコトがあったんだよ、って、笑顔で話せたら、いいなー……
しゅわしゅわふわわと、煙が収まると。
ルルコちゃんの姿はそこには無くて、ズタボロの白いワンピースだけが残ってて。
「ルルコちゃん……」
消えちゃいましたよ、ルルコちゃん。
しんと静まり返った『選択の部屋』が、なんだかとっても物悲しいですよー。
「……ねえ、フィルフィー……ホントにまた、ルルコちゃんに会えるのかな……?」
「あん? ナニ言ってんだ? そこにいるだろーが、ホレ」
「えっっ!? どこにっっ!?」
「ああんっ? そこだよ、そこっ」
キョロキョロとキョドりまくる俺に向かって、ぶっきらぼうに応えるフィルフィーが指差す先には、なななんとっ!
父さん、つまりはルルコちゃんのママに抱かれてるちっちゃい子供の姿がっ!
これって、もしかしなくてもっ!
「おかえり、ルルコっ」
「おかえりなさい、ルルちゃんっ♪」
ちっちゃいルルコちゃんですよ!
リセットされたルルコちゃんが帰ってきましたようおおー!
「ヒカリもこっちに来なさいっ」
「ちっちゃいルルちゃんを見てあげて、ヒカ君っ♪」
「うんっ!」
もちろんですよ、俺も見たいですよ、ちっちゃいルルコちゃん!
すてててっと駆け寄る俺ですよ。
どんなかなっ? やっぱカワイイのかなっ?
これは期待っ! と、覗き込んでみると、なんとっ!
真っ白いふわふわの肌着を着て、スヤスヤ眠ってますよ、ちっちゃいルルコちゃん。
やっぱり1歳くらいかなっ?
長いまつ毛と、さくら色のぷにぷにほっぺが、めっちゃカワイイですよー!
当たり前だけど美少女ルルコちゃんの面影が残ってて、めちゃめちゃラヴリー!!
「どうだ、カワイイだろー? 何せ、父さんがお腹を痛めて産んだ子だからなっ」
今の父さんは『ルルコちゃんのママ』だから間違ってはナイけど、その言い方はどうかと思うぞっ。
「ねえ、手に触れてあげて、ヒカ君っ♪」
「えっ? いいのっ?」
「いいもなにも……お前の妹なんだぞ、ヒカリっ」
マジですか、触っちゃってもいんですかっ。
ちっちゃい子供の手に触るなんて初めてですよっっ!
「起こさないように、そっとね♪」
母さんに促されて、おそるおそる手を伸ばしてみる俺ですよ。
「さっ、触るよ、ルルコちゃんっ」
挙動不審な動きとヘンタイ的な言葉で、ちっちゃい手に触れてみると、なんとっ!
ふにっ、と、柔らかくって温かいマシュマロみたいな感蝕!
俺の手は小さい方だけど、さらに小さい!
うわー。指が、ちゃんと指のカタチしてるんだなー。ふわふわで、ぷにぷにしてて、ずっと触ってたいって思っちゃうなー。
生命ってスゴいなー……
なんか、めちゃめちゃ感動的なんですけどっっ!
「へえー、カワイーじゃんっ」
「とっても愛らしいですわっ。キュートですわっ♡」
「うむ。善きかな善きかなじゃぞい」
いつの間にかフィルフィーとペリメール様、神様店長まで集まって、みんなで輪になって『ちっちゃいルルコちゃん鑑賞会』みたいになっちゃいましたよ。
みんな揃ってニコニコ笑顔!
なんだか、胸がほっこりホコホコと温かいですよー!
「んむー……う゛にゃ……?」
あっ。起きちゃったっ?
騒がしかったかなっ?
でも、むずがるルルコちゃんもカワイイっ!
「おはよう、ルルちゃん!」
「おはよう、ルルコっ」
いきなり大勢に囲まれちゃってるもんだから、きょとんとしちゃってますよ、ルルコちゃん。
まだ言葉は理解出来ないかもだけど、ここはイッパツ、自己紹介!
「初めまして、ルルコちゃんっ! ボクの名前はヒカリ! コウダヒカリ! ルルコちゃんのお兄ちゃんですよー!」
「あー?……う゛にゃ?」
じーっと俺を見つめるルルコちゃん。
て言うか、ガン見です。
このカンジって、何度か経験してるぞっ。
ぐるぐるメガネをかけてても、
それならばっ。
しゅぱっ! とぐるぐるメガネを外して、もう一度、ご挨拶をっ!
「こんにちわ、ルルコちゃん! ヒカリお兄ちゃんですよー!」
「あうあー……う゛にゃ?……おにい……たんっ?」
なぬっっ!?
おにいたん、ですとっっ!?
「おにーいー、たんっ?」
かっ!
かっっ!
かっっっ!
KAWAEEEEEEEEっ!!
『おにいたん』ですってようおおおおおおっ!
なんってカワイイですかねっっ!
こんなカワイイ生き物見たコト無いっっ!
「るっ! ルルコたんっ! おにいたんですヨー!」
両手を開いて頬の横でひらひらっと振ってみると、きょとんとしてますよ、ルルコちゃん。
あれっ? ウケなかったかなっ?
どんズベっちゃったかなっっ?
と、思いきやっ。
「う゛にゃっ。にゃははー♡」
おおおおっ!!
笑ってくれましたよ、ルルコちゃん!
やっぱ、めっちゃKAWAEEEE! YABEEEE!
カワイイが過ぎるとは、まさにこの事っ!!
「笑い方がちっちゃい頃のヒカリにそっくりだなあ。なあ、母さんや」
「そうねー。にゃははって笑い方がねっ♪ ヒカリも1歳の頃って、こんなだったのよー?」
「えっ、そうなのっ? ホントにっ?」
「こっちの世界じゃ血は繋がって無くても、さすがは兄妹だなっ」
「そうねー。血は繋がって無くても魂は繋がってるみたいだし、やっぱり兄妹なのねっ♪」
そう言えば、フィルフィーも『魂の繋がり』って言ってたっけ。
魂のハナシはよくわかんないけど……こうやって家族揃って生きてるのも、こんな風にルルコちゃんに会えたのも、全部フィルフィーのおかげなんだよなー。
父さんと母さんと、また一緒に、こんな風に笑える日が来るなんて。
なんだか、お礼を言いたい気分ですよっ。
「ねえ、フィルフィーっ」
「あん? なんだよっ」
「イロイロと、ありがとうねっ!」
「ああん? なんだよ、急によー?」
「これからも、まだまだヨロシクねっ!」
「……んーだよ、照れくせーだろーがっ」
プイッとあっち向いちゃいましたよ、ヤンキー女神。
耳まで真っ赤になってるのがバレバレでカワイイけど、からかったらブチキレそうだから見て見ぬフリしてあげますよ!
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