決着! ヒカリvsルルコ!
「ルルコさんが背中をついちゃったので、ヒカリ様の勝利っ! ですわあっ!」
「おおー! やったなヒカリぃー! バッチどすこいだぜっ!」
「ナイスどすこいだったぞっ! ヒカリっ!」
「ヒカくんもルルちゃんも、カワイイどすこいだったわよっっ!」
「うむ。しかと見届けたぞい。よくやった、ヒカリよ。どすこいどすこいじゃ」
みんなして『どすこい』の使い方間違ってるような気がしないでもナイけどもっ!
見届け人の神様店長も公認ですよ、父さんと母さんも喜んでくれてますよー!
これでルルコちゃんをリセットできますようおおー!
「ボクの勝ちだよねっ、ルルコちゃんっ!」
「う゛っ……う゛にゃっ……」
んっ?
なんだかお顔が真っ赤っかですよ、ルルコちゃん。怪我しないように倒したつもりだったんだけど、どっかイタイのかなっ? どしたのかなっ? ダイジョブかなっ?
と、思ってるとなんとっ!
「おっ、お兄ちゃんに押し倒されちゃったっ! あっ、赤ちゃん出来ちゃったっっ!」
「えっっ!?」
押し倒されて御懐妊って、そんなのが可能なら、世の中とっても子沢山!
そっちの知識は、まだまだ全然お子ちゃまみたいですよ、ルルコちゃんっ!
「だっ、ダイジョブだよ、ルルコちゃんっ。押し倒されたくらいじゃ赤ちゃんは出来ないんだよっ?」
「ウソっ!? ホントにっ? じゃあ、どうやったら赤ちゃんて出来るのっっ?」
「えっ!? そっ、それは父さんと母さんに訊いた方がいいんじゃないのかなっっ?」
なんて怖くてオソロシイ質問をぶっこんでくるんですかね、ルルコちゃんっ!
オブラートに包んで説明なんて高度なテクニックは持ち合わせてナイですよっ!
そんなのは父と母に丸投げです!
なんつったって二人とも経産婦なんだから、答えられるハズ!
それでは、どうぞっ!
「そっ、それはだなっ。あっ。女神様がいるコトだし、女神様に教えて頂きなさい、ルルコっ。なあ、母さんやっ」
「そそそうねっ。こんな機会なんて滅多にないものねっっ。お願いします、ヤンキー女神様っ!」
なななんと、怖くてオソロシイ質問はフィルフィーの元へっ!
フィルフィーはどう答えるのかなっ?
どうかなっっ?
「ああんっ!? そんなもん知るかっ! 元恋愛の女神のペリ子に訊きやがれっっ!」
「えっ!? わわわ私がっ!? ですわんっ!」
フィルフィーまで丸投げの丸投げっ!
名付けるなら『丸投げリレー』ですよー!
女神って、ウソつけないハズ!
みんなが注目する中、ペリメール様は何て答えるのかなっ? どうかなっっ?
「赤ちゃんってどうやったら出来るのっ? 銀髪女神のおばちゃんっ!」
「おっ、おばちゃんではありませぬっ、ですわんっっ。赤ちゃんはですねっ。
愛し合う二人の想いが最高潮に達した時に、ソレが天に昇り不思議な力が働いて、ああなってこうなって赤ちゃんを授かるのですわっっ」
ああなって、こうなって、って。
まあ、ウソは言ってないけど、やたらグレーな説明ですよ、ペリメール様っ。
「銀髪女神のおばちゃんは女同士でケッコンしてるでしょっ? 女同士でも赤ちゃんて出来るのっ?」
「おばちゃんではありませぬっ、ですわっ! 女同士でも、もちろん赤ちゃんは出来るのですわっ」
「えっ!? もちろんって!?」
思わず口を挟んじゃう俺ですよ!
「あの、ペリメール様っ。それはさすがにムリなのではっっ?」
「ところがすっとこどっこい、出来ちゃうのですわ、ヒカリ様っ!」
「えっ? そうなんデスカっ?」
って、すっとこどっこいの使い方間違ってませんかね、ペリメール様っ?
「同性同士で赤ちゃんを授かるには、天界の住人になる必要があるのですわっ。
天界の住人になれば、ヒカリ様だって赤ちゃんを産めちゃうのですわっ」
「えっ!?」
マジ、です、かっっ!
出産出来ちゃうんですか、男の
前の世界じゃ絶対に不可能なのに、なんてリベラルでフリーダムな世界なんですかねっ。
リベラルでフリーダムって、よくわかんないけど、まあそんなカンジです!
でも、天界の住人になるって、めっちゃハードル高いのではっ?
「ヒカリが出産するハナシなんて、今はどーでもいーんだよっ」
のししっと、がに股で進み出てきましたよ、ヤンキー女神。言動と行動がキラキラ輝く
「勝負は付いたな、ルルコっ」
「……うん」
そうですよ、俺が出産するハナシよりも、ルルコちゃんをリセットする方が大事ですよー!
フィルフィーとペリメール様を『おばちゃん』呼ばわりしてたのと同じ女の子とは思えないくらい、おとなしくてしおらしいですよ、ルルコちゃん。
「リセットする前に言っておくコトがある。よく聞いとけよ」
「……はいっ」
「リセット出来るのは一人一回限り。今後どんなコトがあっても、リセットは不可能だ」
なぬっ!?
これは衝撃的な初耳ですよっ!
俺をリセットした時は、そんな説明は無かったぞっ!?
「ちょっ、フィルフィー!? それってホントなのっ!? ボクって、もうリセット出来ないのっ!?」
「ああんっ? 言って無かったっけか? リセマラなんてめんどくせえからなっ。一回で
マジ、です、かっ。
俺ったら、このままずっと男の
こここれはっ。
早い内にイケメン路線に変更しないと、うかうかしてると、おっさん男の
想像すらしたくねーですよ、ゴスロリメイド服のうっすらハゲてるおっさん男の
なんとしても、それだけは回避せねばっっ!
「ナニを妄想してんのか知らねーけど、ヒカリもしっかり見とけよっ。オマエの妹なんだからなっ」
「うえあっ!? あっ、うんっ」
「ココロの準備はいいか? ルルコ」
「……はい」
ルルコちゃんと同じ目線になるように屈んで、じっと目を見るフィルフィー。
メンチ切るんじゃなくて、優しく見つめてるってカンジですよ。
「『コウダルルコよ。お前がなりたい姿を言ってみろ』」
うお!
久々に聞きましたよ、フィルフィーの
うつむいて沈黙するルルコちゃん。
その小さな肩は、小刻みに震えてて。
顔を上げたルルコちゃんの目には。
涙が。
「ルルコ、は……っ……パパとママの、トコロに……っ、戻りたい……ですっ。ちっちゃいルルコにっ……戻りたい……っ」
ルルコちゃんの頬を伝う、大粒の涙。
キレイに透き通った宝石みたいな涙ですよ。
「『それが本心か?』」
「……うんっ……うんっ!」
こくんこくんっと、うなずく度に大粒の涙が溢れて、ルルコちゃんのほっぺたを濡らしていきますよ。
とっても素直でカワイイですよー!
「『魔王だった時の記憶もリセットされる。それはつまり、兄であるヒカリとの出会いを忘れる、というコトだ』」
「「えっ!?」」
思わず俺とルルコちゃんの声が重なった!
俺との出会いは忘れちゃうっ!?
魔王として暴れ回ったコトとか、俺と闘ったコトとか全部っ!?
それってあんまりじゃないっ!?
「『それでも構わないか?』」
「ぜんぜん構いませんっ!」
「ちょっ! ルルコちゃんっ!?」
即答っ!!
即答ってマジですか、ルルコちゃんっ!
俺との別れに1ミリもためらいも無いってコトですかあっっ。
「『本当にいいのか?』」
「だって……お兄ちゃんとは、また会えるんだよねっ? もう二度と会えないワケじゃないよねっ?」
「『ああ。もちろん、また会える』」
ココロに染み入るような、フィルフィーの優しい声。
絶対に嘘なんかじゃ無いって思える、胸に染み入る
なんだか、とっても女神っぽいですよ。
ちょっとだけ見直してあげるぞ、ヤンキー女神っ。
と、ふっと俺の方を見るフィルフィー。
「なあ、ヒカリぃ。ルルコの方がオトナなんじゃねーのかあ?」
ニターリと悪魔の微笑みを浮かべてやがりますですよ、ヤンキー女神っ。
ちょっとだけ見直してたのに台無しですよっ!
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