激闘! 妹魔王ルルコちゃん!

 フィルフィーをヤンキーのおばちゃん呼ばわりしつつ、まだまだ闘う気まんまんですよルルコちゃん!


「ルルコの攻撃は大鎌デスサイズだけじゃないのですっ♪ 魔法だって使えちゃうんだからねっ♪」


「えっ!? 魔法も使えるのっ!?」


「ふふーん♪ スゴいでしょー♪

 と言うコトで、今から『永劫爆睡エターナルスリープ』っていう魔法で攻撃したいと思いまあす♪」


 なななんとっ!

 永劫爆睡エターナルスリープっ!ですとっ!?

 それって、シフォンちゃんが俺と闘った時に使った、辺り一面をスベっスベの更地さらちにしちゃう超絶魔法じゃないデスカっ!


 物理攻撃がスゴいだけじゃなく魔法まで使えるんですか、なんてハイブリッドな魔王なんデスカネっ!

 でも、ちょいとお待ちを、ルルコちゃんっ!


永劫爆睡エターナルスリープって、ここでそんな超絶魔法を使ったら魔王城ごと吹っ飛んじゃうんじゃないのかなっ!?

 女神様達もいるんだよっ!?」


「んー? お兄ちゃんとくのいちさんをれるなら別にいーんじゃないのかなあ? 女神サマ達が死んじゃっても、巻き添えなんだから仕方ないヨネっ♡」


 なななんですとっ!?

 俺達の他にも従業員とか一般のお客サマとかいるハズなのにっ!

 俺とムラサメさんをれるなら魔王城ごと吹っ飛んでも構わない、ですとっ!?

 さらに女神様を添えてっっ!


 ヨネっ♡

 って、言い方がカワイイけども、だがしかし!

 そんなのは絶対に間違ってる!

 超絶魔法を使われる前にルルコちゃんを止めなければなりませぬよ、男のっっ!


「あっ。首はちゃんと残るように吹っ飛ばすから安心してねっ♪」


 なぬっ!?

 安心なんてできませんよ、ルルコちゃんっ!

 逆に不安要素がてんこ盛りっ!

 こんなトコロで、童貞のまま妹魔王にられちゃうワケにはいかにゃいっ!


 ここは先手必勝で行きますよっ!


魔王城ここで超絶魔法なんて使っちゃダメだよ、ルルコちゃんっ! 抜刀っ! 白月!黒月っっ!」


 しゅるりらりんっ!と、解き放たれる浮遊刀!

 と、そこに再び戦闘体勢のムラサメさんがっ!


「ヒカリ殿っ! 拙者がルルコ殿を引き付けますゆえ、今の内にお着替えガチャをっ!」


「えっ!? でもっ!」


「拙者には、手裏剣、クナイ、泥団子どろだんごといった飛び道具がありますゆえ、時間稼ぎするでござるよっ!」


 おおっ! 頼もしいですよ、くのいち勇者っ!

 て言うか、泥団子どろだんごって飛び道具なのっ!?


 でもちょっと待って下さいよっ。

 ピキピキぴこぴこと、俺のちっちゃい脳で瞬時に演算するのだ!

 今、お着替えガチャするべきか否かっ!?

 強い衣装を出すには、めっちゃ集中力が必要なのですよ、だがしかし!

 こんな状況でお着替えガチャっても、ロクな衣装が出る気がしないっ!

 レミィとかルレ美とかをせる気がしませんよー!


 刹那の時間で、ポコポコちーん! と導き出した答えはっ!


「このまま闘うよ、ムラサメさんっ!

 ボクを信じてっ!」


「えっ!? りょっ、了解でござるっっ」


 俺が闘うって言うなんて思いもよらなかったのか、ビックリしちゃってますよ、ムラサメさん!

『ボクを信じて』だなんて、言った本人が一番ビックリしてるんですけどねっ!


「では、ヒカリ殿を信じるでござるっ! このような状況での英断に感服いたしますでござるよっっ!」


 おおっ。褒められたっ。

 褒められ慣れてないから照れ臭いですよー!

 ニャハー!


「やはりヒカリ殿は、拙者の旦那様に相応しいお方でござるっ!」


「だっ、だんなサマっ!?」


 ムラサメさんたら俺の方をチラチラ見つつ、ほんのり頬を赤らめてるじゃないですかっ。

 うおお、カワイイですよー!


 くのいち勇者のおヨメさん……

 推定Fカップっぷのくのいちが、俺の嫁……っ。

 亀甲縛りで、ぷるるんっ、ぽにょにょんって!

 ムハー!


「『ヒカリちゃん? お顔がゲスいんDEATHけどっ?』」


「おえあっ!?」


 ラーフィアちゃんのイケボで、はっと我に返る俺ですよ!


 尻尾鞭テイルウィップに捕らわれて、あられもない格好になってたムラサメさんのエロスな光景を思い返してる場合ではナイ!


 ルルコちゃんの魔法攻撃を止めないとですよ、妄想勇者っっ!


「お兄ちゃん達って見てて飽きないなー♪ 面白ーい♪ でも、ここでお別れなんだけどっ♪

 じゃあ、呪文詠唱しまーす♪」


「させんでござるよっ! はっ!」


 ひゅひゅひゅんっ!と、ルルコちゃんめがけて手裏剣を連投するムラサメさん!


 だがしかし!

 ぺちぺちぺちっ!と、いとも簡単に尻尾鞭テイルウィップで弾き落としたよルルコちゃんっ!

 って、これはっ!

 魔法刀で切断したハズの尻尾鞭がトカゲの尻尾みたいに、にょろろんっ!と復活してるじゃないですかっっ!

 

「ヒカリ様ぁ。尻尾鞭テイルウィップは何度でも再生しちゃうから気を付けて下さいねぇ♪」


「えっ!? そうなのっ!?」


 何度でも再生するんですか、そーですか。

 その情報はもうちょっと早く聞きたかったですよ、フェイリアちゃんっ!


「なんのこれしきっ! 飛び道具はこれだけではござらんよっ!」


 続けざまにクナイと泥団子どろだんごを、びゅびゅんっ!と投げつけるムラサメさん!

 でも、どれもこれも、ぺちぺちっと簡単に弾き落とされちゃってますよっ!

 泥団子なんてホントにただの泥団子だしっ。


「くっ! やるでござるな、ルルコ殿っ!」


 あのですねムラサメさん。

 泥団子が爆発するとか、ケムリを吹いて目眩ましになるとか、何かサブの効果があれば良かったんじゃないのかなっ?

 フツーにぺっちゃんこになっちゃってますよ、泥団子。


「その泥団子には近づいてはなりませぬでござるよ、ヒカリ殿っ」


「えっ? なんでっ?」


「実は、中にお腹が痛くなる細菌ウイルスが仕込まれているのでござるよっ」


 マジですかっ。

 ただの泥団子かと思いきや細菌兵器ウイルスウェポンだったとはっ!

 それはとってもデンジャラスだけど、お腹が痛くなるだけってのが、なんかカワイイですよっ。


「2対1なんだから、ルルコも尻尾を2本にするねっ♪ 双尻尾鞭ツインテイルウィップっ!」


 なななんとっ!

 にょろりろりんっ!と、ルルコちゃんの尻尾鞭テイルウィップが2本に増えちゃったっっ!

「わあ!スゴーイ♪ 尻尾鞭テイルウィップの上級スキルですよぉ♪」


 へー、そうなんだー。

 じゃないですよ、フェイリアちゃんっ!

 1本でさえ厄介なのに、2本なんて相手にしてらんねーですよー!

 何度でも再生するなら、何度でも斬ってみせますよー!


「行けっ! 白月っ! 黒月っ!」


「忍法『火炎玉』っ! ニンッ!」


 ちっちゃい火の玉を、いくつも放つムラサメさんっ! カッコいいっ!

 忍法まで使えちゃうんですね、くのいち勇者っ!

 妄想勇者を名乗るのがこっぱずかしくなっちゃいますよー!


 ルルコちゃんは双尻尾鞭ツインテイルウィップで、俺達の攻撃を巧みに防御しつつ呪文詠唱中!

 なんて器用なコなのかしらっ!


黄昏タソガレよりも……じゃなくって。ピ~ラリヒラリ~……でもなくって。えっと、あれ? なんだっけ?」


 防御しながらの呪文詠唱は集中できないのか、唱える呪文を間違えちゃってる!

 ここが攻め時でチャンスと見たっ!


「舞い踊れっ! 白月っ!黒月っ! うにゃあああああっ!」


「お兄ちゃん、うるさいっ! 呪文を唱えられないでしょっっ!」


 なぬっ!?

 出ましたよ、よくある妹からの口撃『お兄ちゃん、うるさい』ですよっ!

 妹魔王を止める為にマジメに闘ってるのに、怒られちゃったよ、お兄ちゃん!

 だがしかしっ。

 こんなコトで精神的ダメージなんて受けないんだからねっ!


「二人ともちょろちょろジャマしないでよね、もうっ! えいっ!」


 ルルコちゃんの尻尾鞭テイルウィップの片方が、にょろろんっと俺に急接近して俺の足首に巻き付いたっ!


「あっ!?」


 さささらにっ!

 にょろにょろにゅるにゅると身体を這い上がってくるじゃないですかっっ!

 やっべ!やっべーですよ、男のっ!

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