妹魔王ルルコちゃんとの、、お茶会!
「お待たせ、お兄ちゃんっ♪」
コトコトカチャリと、ティーセットを運んできてくれましたですよ、妹魔王ルルコちゃん。
トレイに載っかってるのは、ピンクのウサギが描かれてるティーカップ。いかにも女子が好きそうなデザインのヤツですよー。
お待たせ、なんつってニコニコ笑顔ですよー。
なんかこう、魔王じゃなくて、ちゃんとした妹だったらこんなカンジなのかなー、なんて思っちゃいますよー。
緊張感ゼロなんですけどっっ。
「あれあれ? おばちゃん女神様の二人はドコ行ったのー?」
「えっ? あ、今、ちょっと、おトイレにっ」
フィルフィーはともかく、ペリメール様までおばちゃん呼ばわりですよ、ルルコちゃんっ。
イヤ、まあ、ちょっとだけ年齢離れてるから、おばちゃんに思えるかもしれないけどっ。
ペリメール様が聞いてたらどんな顔したのかなっ?
「ふーん。そのうち来るんでしょ? じゃあ、先にお茶会始めちゃいましょー♪♪」
お茶会っ!?
お茶会ってハッキリ言っちゃったよ、ルルコちゃんっ!
こここれはっ!
ガチでマジのヤツですよー!
うら若きオトメ達のティータイムの始まりですよー!
って、マジかっ!
勇者と魔王の大戦争なんて、影もカタチもナイんですけどっっ!?
「こういう時間って、なんか楽しいよねー♪」
「あっ。それ、拙者もわかるでござるよ、ラーフィア殿っ♪」
なんつって、慣れた手つきでお茶の準備をするラーフィアちゃんとムラサメさんですよ。
いつぞや、
ワイワイしながらお茶の準備するオンナノコってカワイイよね。
なんて思ってる場合では無いですよっ!
アレっ? 俺、なんか間違ってるっ?
妹魔王と闘いに来たハズなのに、ドキドキしてたのは俺だけなのかっ!?
お茶をいれつつ、ルルコちゃんと気さくに会話するラーフィアちゃんですよ。
「ルルコちゃんて、ここでひとりで暮らしてるんでしょ? ……寂しくない?」
「んー、そうですねえ。寂しくない……のかなあ? 気づいたらここにいて魔王になってたから、よくわかんないでえす♪」
「ふうん。パパとママはどうしてるのかな?」
「えー? わかんないでえす♪ 行方不明、かな?」
笑顔でサラッとコワイコト言っちゃてますよ、ルルコちゃんっ。
ルルコちゃんのパパとママ、それすなわち、俺の父さんと母さんってコトなんですけどっっ!
行方不明とは、ただ事ではナイですよっ!
「まあ、その話はいいじゃないですかあ♪
ではでは、準備が出来ましたっ♪ みなさん、ゆっくりくつろいでクダサイねっ♪
みなさんのコイバナとか聞きたいでえす♪」
ココココイバナですとっ!?
さすが女子ですよ、だがしかし。
大事な話が後回しにされちゃった。
イヤ、これ、マジでナニしに来たのかわかんないんですけどっっ!?
「ハイ、どうぞっ、ラーフィアさん♪」
「ありがとう♪ あ、そのカップ、カワイイね。ルルコちゃんっ」
「えへへっ。わたしのお気に入りなんですよう♪ ピンクのウサギさんなんて
「ウサギさんていいよねー♪ 私もスキだよっ」
ルルコちゃんて親しみやすい性格みたいで、あっという間にラーフィアちゃんと仲良くなっちゃってますよ。
甘え上手で、ちょっと歳上にウケるタイプみたいですよー!
こういうのって、同い年の女子からは嫌われちゃったりするのかなっ? どうなのかなっ?
イマイチ『お兄ちゃん』って実感はナイけど、お兄ちゃん的にはちょっとだけ気になっちゃいますよっ。
「フェイリアさんて色気があって美人さんだし、レイルさんてスタイル良くって美人さんですよねえ。ルルコはちんちくりんだから、羨ましいなあ」
レイルさんとフェイリアちゃんまでも褒めちゃってますよ、ルルコちゃん。
歳上のお姉さんに切り込んで行くなんて、俺には無いスキルと度胸ですよー。
はっ。
俺をサクっと
もしかして策士的な才能があるのではっっ?
「いやーん♡ カワイイなぁ、ルルコちゃんっ♡ 色んなコト教えたくなっちゃうなぁ♡」
「お前はイヤらしいコトしか教えないからダメだぞ、フェイリアっ」
「レイルさんレイルさんっ。イヤらしいコトってなんですかあ? 具体的に教えて下さいよう♪」
「えっ!? ぐぐぐ具体的にっ!?」
おおっ!
あの冷静沈着でクールなレイルさんがワタワタしてますよっ!
年下の女の子からの思わぬぶっこみには弱いみたいですよー!
「そそそれを知るのはまだ早いぞっ、ルルちくりんっ」
ルルちくりんっ?
『ルルコ』と『ちんちくりん』がコラボっちゃってますよ、レイルさん!
さらにお顔が赤いですよー!
歳上のお姉さんを動揺させるとは恐るべしですよ、ルルコちゃんっ!
「えー? そうなんですかあ? じゃあ、いつか教えてクダサイねっ♪」
「いっ、いつかなっっ」
なんつって、はぐらかしちゃいましたよ、レイルさん。
そんなこんなで、きゃっきゃウフフなティータイムですよ。
なんなんですかね、これ。
何がどうしてこうなったんだっけか?
アレっ? これって、俺も楽しんじゃっても良いのかなっ?
さっきまでの緊張感なんてドコへやらっ!てまあ、そんなカンジですよー!
「ねえねえ、お兄ちゃんっ。ラーフィアさんが作ってきてくれたクッキー食べてみてっ♪」
「えっ? あ。うんっ?」
まあ、全然食べますけど。
なんてったって、ラーフィアちゃんの手作りだしねっ。
サクサクしてて美味いんだよなー、と思いつつ、クッキーに手を伸ばすと、なんとっ。
「ダメだよ、ヒカリちゃんっ。
ルルコちゃんの為に作ってきたんだから、まずルルコちゃんに食べてもらわないとっ」
むむ?
ラーフィアちゃんに止められちゃいましたよ。なんでかなっ?
そう言えば、まだ誰もラーフィアちゃんのクッキーを食べてないような……
「いえいえ、そんなあ♪ ラーフィアさんとお兄ちゃんてお付き合いしてるんですよねえ?
じゃあ、お兄ちゃんがカワイイ彼女の手作りクッキーを最初に食べるのって、フツーのコトじゃないですかあ?」
「ヒカリちゃんはフツーじゃないのっ。だから、ルルコちゃんが先に食べてくれていいんだよっ?」
俺はフツーじゃないってマジですか、ラーフィアちゃんっ。
なんか、さらっとヒドイコト言っちゃってませんかねっ!?
まあ、超絶カワイイ男の
「食べてくれたら嬉しいナー。ルルコちゃんの感想を聞かせて欲しいナー。みたいな?」
こくん、こくんっと小首を左右に傾けるラーフィアちゃんお馴染みの仕草ですよ。
ツヤサラ銀髪がサラサラっと流れて、やっぱKAWAEEEEですよ、ラーフィアちゃんっ!
「えー、そうですかあ? じゃあ、お言葉に甘えてっ。いただきまぁす♪」
ルルコちゃんがクッキーをひとつ手に取り、カワイイお口にパクっとイン!
する寸前で、ピタリと手を止めましたよ。
んむっ? どしたのかなっ?
「……ねえ、ラーフィアさんっ。これって、毒入りクッキーですよねえ?」
「えっ!?」
毒入りっっ?
なんてコト言うかな、ルルコちゃんっ!?
「あら、バレちゃった? 毒じゃなくって睡眠薬なんだけどなー。静かに眠ってもらおうって思ってたのになー」
なななんとっ!
睡眠薬ってマジですかっ。
ラーフィアちゃん、やたらクッキー推すよねと思ったら、そういう
恐るべしですよ、ラーフィアちゃんっ!
さすがは元魔王っ!
「女神様達とは仲良くなりたかったんだけどなあ。残念だなあ……」
ふっと寂しそうに呟いて俯くルルコちゃん。
その小さな肩は小刻みに震えてて。
えっ。まさか。
泣いちゃってるのかしらっ?
と、思いきやっ!
「ウフフっ♪ やっぱり、そうこなくっちゃ、ねっ!」
パッとあげた顔に涙は無くて、無邪気な満面の笑みですよ!
「お楽しみはこれからですよねっ♪ えいっ♪」
いきなり立ち上がって、しゅぱぱぱっ!と、三連続でバク転ですよ、ルルコちゃんっ!
おおっ!SUGEEEEですよー!
俺なんて後方でんぐり返りすらろくすっぽ出来ないのにっ。
ズバ抜けた身体能力の持ち主みたいですよ、ルルコちゃんっ!
「ねえ、お兄ちゃんっ」
「えっ? はいっ? なんデスカっ?」
「今、ルルコのぱんつ見たでしょ?」
「えっ!? 見てナイよっ!?」
「ウソだあ。バク転した時、ガン見してたでしょー? お兄ちゃんのヘンタイっ」
うごおおっ、お兄ちゃんをヘンタイ呼ばわりですよルルコちゃんっ!
イヤまあ、確かに白いモノがちらっと見えたような気がしないでもナイですがっっ。
俺は、妹のおパンツをガン見するようなヘンタイじゃナイですよー!
「お茶会はおしまいだよ、お兄ちゃんっ。やらしい顔してないで、シャキっとしてよねっ!」
うおお、怒られたっ。
別にやらしい顔してたワケじゃないんですよ、ルルコちゃんっ。
何もかもが、あっという間過ぎて、思考が追い付かねーだけなのですよ!
きゃっきゃウフフと
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